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短編2
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いわくつき

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私が前に住んでいたアパートは月の家賃が3万円。

いわゆる、いわくつきの部屋だった。

不動産屋からは、過去にその部屋で事故が起きたということしか聞かされていなかった。

私は幽霊を信じる派だったし、怖い話などが好きなこともあって、少し不安に思いながらもそこに住むことを決めた。

私は男女問わず友達が多く、その中にはフリーターも何人かいたので、毎日のように友達が遊びに来ていた。

住み始めてからすぐに怪奇現象が始まった。

怪奇現象といっても、テレビが消えたり物音がしたりといった生活にあまり支障の出ないものだった。

私と友達は怖いなと思いながらも、しだいに慣れていった。

中には面白がってわざわざこの部屋に何人かで来て怖い話をするやつらもいた。

なんだかんだいっていつも賑やかだった。

そしていつからか、この怪奇現象の起きる部屋でホラー映画を観る、ということが友達の間で流行り始めた。

私も何度か友達と観たが、ホラー映画を観ている間はなんとなく怪奇現象が少しだけ強くなったような気がした。

その日も、私がアパートに帰ると友達数人がホラー映画を観終わって帰るところだった。

その友達がオススメだといってそのうちの1本を置いて行った。

いつ観ようか考えながら、ふと外を見るとまだ空が明るかったので今から観ることにした。

映画を観ている最中にコップが割れたり、本棚の本が次々に落ちたりと、いつもより現象が凄かった。

映画が終わり気付くとすっかり夕方になっていた。

エンドロールが流れ、テレビを見つめる自分が画面に反射してうつっていた。

そして、その自分の後ろにはいるはずのない数え切れない程の人がうつっていた。

そしてそれは皆一様に私のことを指差し、凄まじい形相で睨みつけていた。

私は目を瞑ると壁伝いに玄関に向かい、扉を開け部屋を飛び出した。

次の日、友達に荷物まとめを手伝ってもらいながら私は部屋を出た。

あの部屋で過去に何があったのか、私は知らない。

でも、知っていることが1つある。

それは、あの部屋に私が行くことはもう一生ないということだ。

Concrete
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