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子供の頃、近くという事もあり母の実家によく遊びに行っていた。
母の実家は本当に古い日本家屋で、程度は良いが何かしら出てきそうな雰囲気のある家だった。
そこには1つ年下の従兄弟(H)がいて、Hと二人でよく悪さをして祖母に怒られたりしていた。
小学3年の時いつものように遊びに行くとHが俺に
「2階の奥の使ってない部屋の天井に、何か気味悪いシミが出来ててだんだん大きくなってるねん!」
と言ってきた…
その部屋は開かずの間って程ではないが、誰も使っていない事もあり、一度も入った事がなかった。
祖母達も俺の知る限り入って行くのを見た事は一度もない。
何故Hがその部屋に入ったのかは、その時は解らなかったし、いつもの好奇心で入ったんだろうと思っていた。
俺はHと一緒にその部屋に入って行った。
確かに何かのシミのような物がある
が、古い日本家屋だ!雨がシミだしていてもおかしくはない。
「雨のシミかなんかやないん?」と言うと
Hは少し間をおいて
「晴れの日が続いても、少しずつ大きくなってんねん。」
それは確かにおかしいとは思ったが、子供の俺にはシミがあると言う現実が目の前にある、それ以上の疑問は浮かばなかった。
それより早く遊びに行きたかったので、
「もう良いから遊びに行こうや!」と言った。
するとHは小さく震え出し、振り返った…
Hの目は白目になり、顔は青ざめていた!
「お前も一緒に行くんだよ!」
と天井を指指すと、天井のシミが一気に広がり真っ暗な穴のように見えた。
俺は叫びながら部屋を出て、下の階にいる祖父母の所に走って降りた…
「ばあちゃん!Hが大変や!化け物みたいになってもうた!」
と泣きながら訴えると。
祖父母は顔を見合せ、
「Hって誰や?いつも遊んでるっていうあんたの友達か?」
え?何を言うてるんか全く解らなかった…
「ここに住んでる!Hやん!俺の従兄弟やろ?何を言うてんねん!」と言うと
「何を言うてんねんあんたは、ここにはばあちゃんと、じいちゃんしかおらんがな」と、笑いながら言う。
そんな…じゃあHは?
「嘘や!俺の1個下の男の子がいるやろ?ずっと子供の頃から遊んでた!」
祖父母ははっとした顔をし俺に
「その子はどこにおるん?今もおるんか?」
と怖い顔をして問われたのを覚えてる。
俺は2階の奥の部屋の話をした。
祖父母と一緒に部屋に行ったがHもシミもなくなっていた。
祖父が天井裏に上がってみるとすぐに降りて来て警察に電話をした。
俺は訳が解らず祖母に尋ねると
「お前の1つ下の男の子ってのは確かに居たよ…隣の家の子で名前は信雄君って言うんよ。あんたがHって言うてたからあたし達は空想して遊んでると思ってたんだ。」
信雄?Hとは名前が違う…それに隣の子?全然別人じゃないか……
祖母は続けて、
「5年前に行方不明になっててね…捜索していたんだ」
5年前?…まだ小さい頃だから覚えていないがよく俺と遊んでいたらしい…
警察が来て天井裏に上がるとビニールシートにくるんだ物を抱えて降りてきた。
隣の人がその中を見た瞬間に泣きわめいていた。
異体は白骨化していたが着衣で我が子だと解ったらしい。
何故信雄君が祖父母の家の天井で死体で見つかったのか等は不明で警察も事故として処理するしかなかったらしい。
ただ…霊が現れたとして何故名前が違ったんだろう?
後日お葬式が行われた…飾られた写真は幼稚園児位だがHに似ていた…
それから祖父母の家にHが現れる事はなかった…
それから時が経ち中学になった時、祖父に呼ばれて家に行った。
すると祖父は一枚の写真を差し出した。
小学生位の男の子の白黒の写真だった…
この子は……Hだ!
「じいちゃん!Hだよ!この子がH!」
すると祖父は、
「やっぱりそうか…これはわしの親父の兄でな…名前はひさしと言うんじゃよ…10歳の時に病気で亡くなったんじゃがな…」
何故ひさしが現れたのか解らない…俺を連れて行こうとしたかも…
でも俺はこう思った
信雄君の霊が気付いて欲しいのとひさしが苦しんで死んだ怨念がシンクロし俺の前に現れたんじゃないかって…
2つの強い想いの内1つが叶いひさしが出て来れなくなったんではないだろうか?
そして…もしかしたら信雄君はひさしの霊に殺されたのではと…
ひさしが亡くなったのはあの2階の奥の部屋だったから。
作者キアロヒ