短編2
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懐かしき夏

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今から20年前、私がまだ小学生の時の話だ。季節は夏で、その年は良く学区内で自殺が連続していた。小学校のプールサイドの木でおじさんが首を吊ってるは、通学路のコンビニの横のビルから女性が飛び降りるはで、怖い話や噂が好きな年頃ってこともあって、冒険ごっこついでに心霊スポット的な場所にも良くいっていた。夏休みが始まり、二週間近く過ぎようとしていた。私は仲のいい私を含めた悪ガキ三人でザリガニを釣りに出かけたんだ。

まあ、何度か行っている沼でザリガニを釣って、それに飽きると近くの駄菓子屋でパレードを飲むのがお決まりコースだったのだが、その日は猛暑日で水浴びがしたいと言う話になったんだ。

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私には六つ離れた兄がいて、同世代の友達よりは兄の話を聞かされるためもあって、遊び場所を知っていた。場所が近い事もあり、立ち入り禁止になっている渓谷の入り方を知っていた私が、話を持ちかけると二人は二つ返事でOKだったので、オヤツを買いだめ渓谷に向かった。立ち入り禁止の入り口にチャリを停めて、少し悪い事をする感覚が大好きな私たちは入り口のフェンスをよじ登り始めた。

そしたら、草むらから黒猫が現れて、まるで私たちを追い払おうとする様に、警戒していた。シャーって言いながら、少し背中を立てる姿勢で、、、私たちが通行料ねと、スルメをあげても見る気もしなく、沢の降り口を塞ぐように歩き出す黒猫。まあ、まあ通せよと言いながら、私たちは沢におりて行った。

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沢に降りると兄の話を聞いていた様に、沢の下ると、日陰になって浅い沢が一部だけひざ下の深さになっている所を見つけ、三人でビシャビシャになるまで遊んだ。二時間ほど遊んで、買った駄菓子を食べながら、最近の噂やサッカー(当時Jリーグが盛り上がっていた)の話をしている時に、友達が何か生臭い?って言ってきたんだ。確かに気を付けて服の臭いを嗅ぐと生臭い様な鉄臭い様な臭いは感じる。その後は何もなく皆でふざけながら帰ったんだが、私は家につき、兄に渓谷で遊んできた。黒猫がいた。聞いてた場所がちゃんとあって、楽しく遊べた話をしたんだ。兄はその話を夕方の特別枠でやっていたルパン三世を見ながら、横目で意地悪そうに話出した。

ついさっき兄が友達から仕入れた情報によると、今日の二時過ぎ辺り、私達が遊んでた渓谷の少し上流にかかっている橋から女の人が飛び降りたらしいと、私は頭が真っ白になり急いで全裸になって一時間ぐらい体を洗った記憶がある。

Concrete
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