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『赤いクリップがポストの中に入ってた。』
それを友人から聞かされた。
私「別にそんなに気にしなくてもいいんじゃない?」
友人「でも気持ち悪いの。ここ最近、ずっと入ってる。赤いクリップだけ。」
私「それ、どうしてるの?」
友人「怖いから放っておいてる。」
私「うん。それが一番いいかもね。」
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友人から次の日、メールが届いた。
会って話したいと。
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私「どうしたの?」
友人「あ・・・」
私「あ?」
その時の友人の様子は明らかにおかしかった。
友人「あのね・・・今日もポストに赤いクリップが入ってたの・・・・・」
私「嫌がらせじゃない?そういうの危ないから無視しておけばいいよ。」
友人「じゃあ、どうすればいいの?」
私「んー。ポスト自体見なきゃいいんじゃない?一人暮らしなんでしょ?だったら平気だってば。てか、赤いクリップ自体にいちいち過剰に怖いって思うのはどうかなー。」
友人「だね・・・。ありがとう。」
私はその言葉を残し、友人と別れた。
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それから1週間くらい経った頃だった。
友人から電話が34件も来ていた。
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異常だ・・・。
私はその時そう思った。
友人に何かあったのだろうか?と不安に襲われた私はすぐさまかけ直した。
私「もしもし!?大丈夫!?」
友人「あ・・・。」
私「あ?」
友人「あのね・・・・あのね・・・」
途端に通話は切れ、何度もかけ直したけど繋がらなくなった。
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私は怖くなり、すぐさま家に帰った。
警察に電話するべきかな。
と、そう思った時だった。
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突然着信が鳴り響いた。
私「もしもし!?大丈夫なの!?ねぇ!!ねぇってば!!!」
私は泣きそうだった。いや、もう泣いてたかもしれない。
状況が混乱してたこともあって、ねぇを連呼してたのは未だに覚えてる。
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友人「あ・・・」
またこれだ・・・・・・。てことは次に喋るのは・・・。
私は予測してしまった。
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友人「あのね・・・あのね・・・あのね・・・」
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私「きゃああぁあぁあっぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
私はとにかく叫んだ。
なぜか分からないけど、友人の連呼する『あのね・・・』が怖く思えた。
携帯からはプープーしか聞こえない。
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ピンポーン。
もう嫌だ。
もうやめて。
そればかりが頭を駆け巡り、私は耳を塞いだ。
でも音はまだ微かに聞こえる。
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「おーい!おい!開けろよー!今日は給料日!どっか食いに行こうぜ!」
そこに聞こえた声は確かに夫の声だった。
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私はすぐさまドアの鍵を開けに行った。
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笑顔の夫を見て、どことなく安心感を抱いた。
それから次の日もその次の日も友人からの連絡は来なかった。
だからといってかける勇気も私にはなかった・・・。
友人と連絡が途切れて3~4週間たった頃だった。
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私が踏み切りで待っていたら、そこに友人がいたのです。目の前に。
私は友人に笑顔で「大丈夫だった?」
その瞬間聞こえた声。それと電車の音。
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「あ・・・」
「あのね・・・あのね・・・あのね・・・あのね・・・」
「わたしね・・・電車にね・・・ひかれてね・・・・もう・・・・」
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「死んでるんだよ・・・」
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その瞬間、すごいブレーキ音と共に血しぶきがあがった。
でもよく見るとそれは赤いクリップだった。
下に落ちたクリップを私は見つめていた。
電車は何事もなかったかのように通り過ぎ、私はふと何か視線を感じた。
前に顔を戻すと、友人が・・・。
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友人は私を指差して「あのね・・・」を連呼する。
ごめんなさい。しか言えず、そこに倒れ込んで泣きじゃくった。
気づくと私は病院のベッドにいました。
どうやら私は踏み切りのところで倒れてたいたらしい。
その後、ずっと友人のことを考えていた。
友人は、今どうしているのだろうか・・・。
そればかり。
すると。
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隣のベッドから不吉な音が聞こえた。
ピーーーーーーー
そこに病院の先生たちがやってきた。
「先生!●号室の●● ●●●さんの容態が悪化してます!」
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え?今なんて・・・?
確かに聞き覚えのある名前。
敷かれていたカーテンは開けられ、隣のベッドに寝ていたのは
まぎれもない友人だった。
友人は静かに息を引き取った。
私がいる横で・・・。
その後、私は1週間後に退院できると聞かされた。
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夫も笑顔でお見舞いに来てくれた。
私「いつもありがとね。」
夫「いいって!気にしない気にしない!あ、そうそう!そーえば・・・」
私「ん?なに?」
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夫「今日、ポストに赤いクリップ入ってたんだよ。なんだろう・・・。」
え・・・。
また私は恐怖に陥った。
次の日、夫の様子がおかしかった。
私「どうしたの?」
夫「あ・・・」
私「あ?」
夫「あのね・・・あのね・・・あのね・・・・あのね・・・・・・・」
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おしまい。
作者SION
伝染していく『赤いクリップの呪い』。
その後、分かったこと。
友人はそこの踏み切りで、まさかの自殺未遂に終わったと聞かされた。
普通なら死んでいた。
そこの病院の先生は口を揃えてそういった。
未だに、踏み切りと赤いクリップの関連性は全くと言っていいほどわからない。
そこの踏み切りで同じような体験をした人は意外といた。
その人は周りの友人が口を揃えて
『赤いクリップがポストに・・・』
と呟くらしい。
あくまでこの話は、フィクションです。
と言っておきますが、もしかしたら本当に私が体験した話・・・なのかもしれませんね。
まぁ、そこはあまり語るのをよしとしましょうかね。
きっとあなたのポストにも・・・赤いクリップが入っているかもしれませんから・・・・・・・。
お気を付けて・・・・。またお会いしましょう・・・・・・・・。