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「あのね・・・あのね・・・」~赤いクリップの呪い~

中編4
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「あのね・・・あのね・・・」~赤いクリップの呪い~

music:1

『赤いクリップがポストの中に入ってた。』

それを友人から聞かされた。

私「別にそんなに気にしなくてもいいんじゃない?」

友人「でも気持ち悪いの。ここ最近、ずっと入ってる。赤いクリップだけ。」

私「それ、どうしてるの?」

友人「怖いから放っておいてる。」

私「うん。それが一番いいかもね。」

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友人から次の日、メールが届いた。

会って話したいと。

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私「どうしたの?」

友人「あ・・・」

私「あ?」

その時の友人の様子は明らかにおかしかった。

友人「あのね・・・今日もポストに赤いクリップが入ってたの・・・・・」

私「嫌がらせじゃない?そういうの危ないから無視しておけばいいよ。」

友人「じゃあ、どうすればいいの?」

私「んー。ポスト自体見なきゃいいんじゃない?一人暮らしなんでしょ?だったら平気だってば。てか、赤いクリップ自体にいちいち過剰に怖いって思うのはどうかなー。」

友人「だね・・・。ありがとう。」

私はその言葉を残し、友人と別れた。

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それから1週間くらい経った頃だった。

友人から電話が34件も来ていた。

sound:33

異常だ・・・。

私はその時そう思った。

友人に何かあったのだろうか?と不安に襲われた私はすぐさまかけ直した。

私「もしもし!?大丈夫!?」

友人「あ・・・。」

私「あ?」

友人「あのね・・・・あのね・・・」

途端に通話は切れ、何度もかけ直したけど繋がらなくなった。

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私は怖くなり、すぐさま家に帰った。

警察に電話するべきかな。

と、そう思った時だった。

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突然着信が鳴り響いた。

私「もしもし!?大丈夫なの!?ねぇ!!ねぇってば!!!」

私は泣きそうだった。いや、もう泣いてたかもしれない。

状況が混乱してたこともあって、ねぇを連呼してたのは未だに覚えてる。

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友人「あ・・・」

またこれだ・・・・・・。てことは次に喋るのは・・・。

私は予測してしまった。

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友人「あのね・・・あのね・・・あのね・・・」

sound:39

私「きゃああぁあぁあっぁぁぁぁあっぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

私はとにかく叫んだ。

なぜか分からないけど、友人の連呼する『あのね・・・』が怖く思えた。

携帯からはプープーしか聞こえない。

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ピンポーン。

もう嫌だ。

もうやめて。

そればかりが頭を駆け巡り、私は耳を塞いだ。

でも音はまだ微かに聞こえる。

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「おーい!おい!開けろよー!今日は給料日!どっか食いに行こうぜ!」

そこに聞こえた声は確かに夫の声だった。

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私はすぐさまドアの鍵を開けに行った。

sound:26

笑顔の夫を見て、どことなく安心感を抱いた。

それから次の日もその次の日も友人からの連絡は来なかった。

だからといってかける勇気も私にはなかった・・・。

友人と連絡が途切れて3~4週間たった頃だった。

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私が踏み切りで待っていたら、そこに友人がいたのです。目の前に。

私は友人に笑顔で「大丈夫だった?」

その瞬間聞こえた声。それと電車の音。

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「あ・・・」

「あのね・・・あのね・・・あのね・・・あのね・・・」

「わたしね・・・電車にね・・・ひかれてね・・・・もう・・・・」

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「死んでるんだよ・・・」

music:6

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その瞬間、すごいブレーキ音と共に血しぶきがあがった。

でもよく見るとそれは赤いクリップだった。

下に落ちたクリップを私は見つめていた。

電車は何事もなかったかのように通り過ぎ、私はふと何か視線を感じた。

前に顔を戻すと、友人が・・・。

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友人は私を指差して「あのね・・・」を連呼する。

ごめんなさい。しか言えず、そこに倒れ込んで泣きじゃくった。

気づくと私は病院のベッドにいました。

どうやら私は踏み切りのところで倒れてたいたらしい。

その後、ずっと友人のことを考えていた。

友人は、今どうしているのだろうか・・・。

そればかり。

すると。

music:2

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隣のベッドから不吉な音が聞こえた。

ピーーーーーーー

そこに病院の先生たちがやってきた。

「先生!●号室の●● ●●●さんの容態が悪化してます!」

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え?今なんて・・・?

確かに聞き覚えのある名前。

敷かれていたカーテンは開けられ、隣のベッドに寝ていたのは

まぎれもない友人だった。

友人は静かに息を引き取った。

私がいる横で・・・。

その後、私は1週間後に退院できると聞かされた。

music:7

夫も笑顔でお見舞いに来てくれた。

私「いつもありがとね。」

夫「いいって!気にしない気にしない!あ、そうそう!そーえば・・・」

私「ん?なに?」

sound:33

夫「今日、ポストに赤いクリップ入ってたんだよ。なんだろう・・・。」

え・・・。

また私は恐怖に陥った。

次の日、夫の様子がおかしかった。

私「どうしたの?」

夫「あ・・・」

私「あ?」

夫「あのね・・・あのね・・・あのね・・・・あのね・・・・・・・」

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おしまい。

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