これは昨年の12月に先輩が体験した話しです。
先輩が語っているように話しを進めさせてもらいます。
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その日はアパート現場の仕事があったんだけど、
前の現場が押しちゃって着いたのが夕方の6時をまわってた。
古いアパートだから音をだしたらひびくだろうなって思ったんだけど、明日には仕上げなきゃいけないから、ちょっとでも進めようと準備して303号室に向かった。
階段から303号室は一番奥にあるから、301号室
302号室と灯りがついてないの確認しながら303号室に入って作業を始めた。
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作業を始めて2時間くらいたった頃かな、隣の部屋の玄関が開く音と足音が聞こえてきた。
お隣さん帰ってきたか、ここまでだなって片付けを始めて静かに現場をあとにした。
302号室の玄関横の窓から灯りは見えなかったけど、明日頑張ろうとその日は帰宅。
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翌日、小雨の中例のアパートに向かった。
今日中に終わらせなきゃいけないから、とにかく
一生懸命やって、
午後もハイペースで進めたんだけど、気がついたら夜の8時。
お隣さん帰ってくるな、クレームきちゃうかな、なんて思いながら作業をしてたんだけど。
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案の定・・・
「すみません。」女性の声が。
やばいな、あとちょっとなんだけどな。。
なんて思いつつ、作業をやめて玄関側に顔をだした。
自分「すみません。音うるさいですか?」
女性「いえ、昨日は一晩中作業をしていましたか?」
はて?と思いながらも
自分「いえ、夜の8時には帰りましたが。」
女性「そうですか。ずっと電気がついてたから。」
そんなはずはないなって心で呟きながら
自分「すみませんでした。消し忘れたかもしれません。気をつけます。」
こんなやり取りをして、何とか回避。
ふーっと一息つくと、302号室の扉がしまった。
玄関から部屋へ歩いていく音が聞こえた。
これじゃ音も聞こえるよな、迷惑だよな。。
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それから30分ほどで終了。
どうにか終わった。
片付けをして帰りに302号室へ念のためご挨拶。
クレームになったら困るから、丁寧にご迷惑をおかけしましたと言っておこうと思いチャイムをならした。
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ピンポーン…ならない。
ピンポーン… やっぱりならない。
コンコン… 返事なし。
まぁいいか。明日に元請けさん(仕事をくれる会社)に電話して伝えておこう。無事終わったし、帰ろ。
てな感じで車に乗り込んだ。
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小雨は相変わらず降っていた。
やたら信号につかまるな、なんて考えながら走っていると、交差点前でバイクが割り込んできた。
危ないな、どうせ赤信号だよ。
心で呟きやっぱり赤信号。
信号が青に変わった。
前のバイクが動きだしたのを確認して、アクセルを踏んだ。
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ガシャーン! すごい音がした。
ともにバイクが横に飛んでいく。
信号無視の車にバイクが突っ込まれた。
急いで車を降りて、バイクの運転手を助けに。
「大丈夫ですか!」
何度声をかけても返事なし。
やばいなこれは。 救急車を呼び、警察にも連絡。
すぐに救急車がきた。
程なくしてパトカーも到着。
警察官に見たままを話した。
信号無視のドライバーは青だったと言っている。
そんなはずはないから、こっちも警察官に間違いなくこっちが青だったと言う。
明日にでも警察署にきて詳しく証言してくださいと言われたから、夕方に伺うと伝えて退散した。
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翌日、元請けさんに朝一番で電話。
昨日の302号室の住人の事を話した。
不動産屋に伝えておくと言われ、とりあえず大丈夫かなって。
その日の現場を早めに切り上げて、警察署へ。
警察署に着いたと同時に携帯が鳴った。
車を駐車場にとめて電話にでる。
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自分「もしもし。」
元請「お疲れさま。今朝の◯◯アパートの302号室の住人のことだけど、本当に302号室に入っていった?」
自分「はい。ハッキリ顔とかは覚えてないですが確かに302号室に入っていきましたよ。」
元請「そっか。おかしいな、不動産屋の 話しだと、302号室はしばらく空室だって言うんだよ。」
自分「え?だって・・・部屋に入っていきましたよ?」
元請「まぁ、とりあえず大丈夫みたいだから。」
なんなんだ。。。
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しばらく302号室の住人を思いだしてみた。
顔はなんとなく思いだせる。
顔から下は、うーん、うーん。
思い出せない。昨日のことなのに。
あっ!でも赤いカーディガンを着てたな。
なんだろ、やたら目立ってたからちゃんと覚えてる。 302号室の人じゃなかったのかな。
でも確かに302号室に入っていったよな・・・
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とにかく証言だ。
警察署に入り、受付?のような所で事故の証言にきたことを伝えた。
部屋に通され、話しを一通りすると刑事さん?みたいな私服のおじさんに言われた。
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刑事「お兄さん。証言ありがとな。だけど横からぶつかった運転手は青だったとずっと言っ て、ラチがあかないんだよ。目撃者が2人きてくれたら心強いんだけど な。 彼女は来れないかな?」
自分「はい?彼女ですか?」
意味が分からなかった。
寂しいことに彼女はいない。
しかも、彼女がいたって今回の事故には関係ないだろ・・・
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しばらく沈黙して、全身に鳥肌がたった。
刑事「助手席に赤いカーディガンの彼女乗ってたでしょ。」
自分「いや、それは。。」
刑事「まぁ、事情もあるだろうし、できたら頼むね。」
意味深な言葉で終わってしまった。
あの女性は俺の車の助手席にいたのか・・・
年も明けてしばらくした頃、バイクの運転手さんからお礼の電話をもらった。
骨折と打撲で済み、もう退院しましたと。警察から証言してくれたと聞いたらしい。
さらにお見舞いをわざわざすみませんでしたと。
俺はお見舞いに行っていない。
そう答えると
「赤いカーディガンの彼女がきてくれました。本当に助かりました。」
終り
作者げげげの怖男
文章が下手で申し訳ない。
誤字脱字、ご勘弁を。