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長編8
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最悪の事態

怖話を乱発してるせいで質が落ちていると指摘されましたが、これだけは載せたく投稿いたします。

……………

俺は、夜が怖い、闇が怖い…アレが無かったら、今頃、俺だって皆の様に、今も肝試しで廃墟などに行ってワイワイと青春を楽しんだはずだ。

アレがあったのは、俺がまだ高校2年の夏だった。その頃は俺も心霊スポット巡りに明け暮れていたんだ。

「肝試しってのは男を見せる最大のチャンスだ!」そう話したのは、他でもない俺だった。友人たちもそれを聞くと、その通りみたいな表情で頷いていた…

バイクで噂の心霊スポットを巡る。

トンネル、廃墟、墓場、神社…他にもいろんな場所に俺たちは行った。正直、何処もたいして怖くなく、いつも拍子抜けだった。

俺には怖いものなんか無いと思い込んでいた…その頃は。

しかし、ある廃墟に行く事になった時だ、俺はこれまで体験した事の無い恐怖を体験する事になる。

……………

その日は友人2人と俺だけでその場所に行った。無免許でバイクを飛ばし、とある町の外れにある廃墟に行く事になったのは、友人のリョウスケの提案だ。

もう一人の友人ユウタと俺は「また、お前、見つけたのかよ」などとリョウスケのオカルト好きに呆れていたが、今まで、それなりに楽しかったってのもあって、その場所に行く事になったんだ。

のんびり夜のツーリングを楽しみつつ、廃墟に到着。なんだかんだ言っても最初は、「なんかさ…やべえもんが出たらどうするよ…?」などと廃墟を見上げながら話したのを覚えている。

入口には他のチームが残したと思われる落書きが無数あった。俺たちも、ユウタが持ってきたペイントスプレーで自分たちのチーム名をそこに大きく描いて、いよいよ中に…

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不気味。

ただ不気味としか思えないくらい闇が広がる内部は、ほんのり甘い香りが漂う…

「何この匂い!?」リョウスケが叫ぶ。

「いや、ペイントスプレーの匂いだし」とユウタが返す。

ハハハッ!と皆で笑いながら懐中電灯の明かりを頼りに奥へ…

また、リョウスケが叫ぶ。

「何だこれ!?キモ!!!」

「ウワ…マジ何だこれ…」

2人が何かを見ながら、何やら言ってるので俺も見に行く。

shake

うわっ!

ネズミの死体がある…

しかも頭が無い…ウジムシが首の傷口にわいてなんともおぞましい…

『カチャリ』とガラスを踏んだ様な音がしたのは、その時だった…。

俺たちが鳴らした音ではない事はまず、あきらかだった、なにせそれは、隣の部屋から聞こえたからだ…

流石に今回、この廃墟は気味が悪い。

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首のないネズミの死骸、

怪しい音…

三人で言葉を出さず、顔を見合わせ頷く。

つまり、隣の部屋に行ってみようと言うことだ。

目が闇に慣れたのか、少しだけなら周りが把握出来る様になっていた。

だが、ゆっくり…音を立てない様に歩く…

……………

隣の部屋に懐中電灯の明かりを照らしたのはリョウスケだった。

その部屋は、どういうわけか他の部屋よりも、心なしか綺麗な感じがした。姿見の鏡がある…一部が欠けていて、下に破片が散らばっているのを見て俺は…

「あれを誰かが踏んだんじゃね?」と2人に尋ねた

「馬鹿!!!よせよ!気持ち悪い!」

そう怒鳴ったのはリョウスケだ。

こいつは大のオカルト好きだが一番の怖がりだった…めんどくさいやつ…と呟いているとユウタが一言、

「ネズミかなんかだろ…行ってみようぜ。」と部屋に入っていく…

それに続けてリョウスケも怖がりながらだが、後をついていく…俺は一番後ろから、中々、前に進まないリョウスケの背中を押しながら部屋へ入った。

鏡以外何もない部屋を懐中電灯でぐるりと見渡す。特になんてことはない…

その時だ。

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『カチャ…』

「うわあ!!?ちょっ!!!マジシャレにならねえ!誰だよ!!!」とリョウスケが叫ぶ。

「お前だよ…」とユウタがリョウスケの足元に懐中電灯で明かりを照らした…足元に破片がある。

リョウスケは、あ…と照れた様に頭を掻きながら、懐中電灯を鏡に向けた…その時だ。

「うわあ!なっ何だコレ!!!」

リョウスケがまた叫ぶ。

何だよ今度は…と俺とユウタがリョウスケに近寄る…

「え?何これ?」2人で同時に同じ言葉を喋る。

それというのは……………

鏡に肝心な者が写っていないのだ…

俺とユウタは写るのにそいつだけ写らない…

懐中電灯の光は写るのに……。

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リョウスケが写らないのだ…

わけが分からず、呆然とその鏡を眺めた…

すると、リョウスケはパニックに陥り、「うわあ!」と部屋から飛び出して行ってしまった…

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すると、また不思議な事がおこる。

ジッと鏡を見ていたユウタが「あ…」と小さく声を上げ、俺は「何?」と鏡を見た…

リョウスケが写っているのだ…

今、パニックを起こし部屋を飛び出したリョウスケが…

信じられない事が今、現実に起こっている事に、俺も動揺した。

「兎に角、出よう…」ユウタが言った言葉に声が出せないでいた俺もようやく、うん。と返事をして外に出た。

リョウスケがバイクの陰で震えている。

「大丈夫だ、たぶん…」

そう声をかけたのは、ユウタだ。

「何処が!何処が大丈夫なんだよ!?見たろ?お前らも見ただろ!!!?」

こんなリョウスケを見たのは初めてだった…グチャグチャに涙を流し怒鳴り散らす…

「いや、お前が泣きたくなる気持ちは俺たちも分かるよ…」ユウタがリョウスケをなだめるが。

「分かるわけねぇだろ!!お前らは……………普通に鏡に写ったんだから!!!」ともっともな事を言う…しかし、ユウタが

「いや、俺たちも写らなかったんだよ…」

と言ったのを聞いて俺は、は?とユウタの顔を覗き込んだ…するとユウタが、

「お前も見たろ?リョウスケが出てった後…」

「ああ、マジビビったよ、リョウスケが写ったのには…」俺が答えると、ユウタが首を振る…

「確かに、リョウスケか写ったのには驚いたけどさ、今度は俺たちが写って無かったんだよ…」

「は?」俺は完全に動揺した…

自分らが写るのは当たり前だと思い込んでいた。

しかも、そこに居なかったリョウスケが写っている…

その事ばかりに目がいっていて気がつかなかった…自分が写っていない事を…

つまり、俺たちもリョウスケと同じ境遇なのだ…

「兎に角、このまま帰るわけに行かねぇって事だ…」ユウタがまるで、何か決心した様に言った。

「どうするの?」俺が尋ねると、

「うん、兎に角、戻ろうあの部屋へ。」と、信じられない事を口にした…しかし、どうする事も出来なかった俺は小さく、「う、うん」と答えた。

リョウスケはというと、嫌だ!嫌だ!の一点張りでそこに残ろうとした。

だが、このままでは本当にまずいってことで、無理やり連れて行く事にした。

リョウスケを引っ張りながら、部屋の鏡の前に…

「あれ?写ってんじゃん…」俺がユウタに言うと、再び首を横に振った。

「これ変だぜ…」

懐中電灯を指差しながらユウタが答える。

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確かに、よく見るとおかしい…

鏡に写る自分の懐中電灯は左手に持っているのが普通の鏡だ…

しかし、この鏡に写る俺たちはそのまま右手に懐中電灯を握っている…。

世の中にはマジックミラーという物がある。

しかし、この鏡を初めに見た時は、普通の鏡だった…右手に持つ懐中電灯を鏡に写る自分は左に握っていた…

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……………

泣きじゃくるリョウスケは言葉を発せずにいたので、俺はユウタに尋ねた。「で?どうする?」

「わかんねぇ…」とユウタ…

肝心な時にあてにならないのがこいつの悪いところだ。しかし…ユウタは。

「兎に角…この鏡に写る俺たちが、元の状態になるまでここで待とう…」

それしかないのか?と、半信半疑だった…でも、俺もリョウスケもどうしたらいいのかなんて、分からなかったので、それに従う事にした。

……………

……………

携帯で時間を見る…

「何時?」とユウタ。

「3時…」眠くて声が出しにくい。

だが、眠ってはダメだと、なんとなく思った…それは、2人も同じに思っていたのか、フラフラしながらも、けして、三人とも寝なかった…

……………

……………

携帯を見る。着信あり。と表示がある…だが無視した。彼女からだったが、今はそれどころじゃない…

すると、枯れた声でリョウスケがようやく口を開いた…

「ションベン…してぇ…行ってきていいか?」

しかし、「いや、ここでしろ…」ユウタがボソリと呟く様に答える。

仕方なく、後ろを向き用を足すリョウスケ。

俺はチラッと鏡に写るリョウスケを見た…

こちらを向いている…鏡ごしに目が合うと、恥ずかしそうにニヤリと笑った…

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?!

何だかおかしい事に気がついた。鏡に写るリョウスケも身体は後ろを向き用を足しているのだ…

顔だけこちらを向きニヤニヤ笑っている。

「何だコレ…気持ちわりい…」と俺が呟くと…

『ドシャッ…』

鏡のリョウスケが倒れた…

横で用を足しているはずのリョウスケに目をやった…

同様に倒れている…首が180度捻れ不気味な笑みをこぼしたまま、死んでいた。

「うわあああ!」最悪の事態が目の前で起こっている。パニックでそこを逃げ出そうとすると、ユウタが「行くな!!!」と俺の腕を掴んだ。

「もう少しだ…たぶん…もう少しだから。」

と俺をなだめる…

親友の死が全く信じられない。だが、今、すぐ横にさっきまで笑いながら話した友が死んでいる…

正に最悪の事態だ…

……………

日が登り始めたのかあたりが白けてきた。

明るくなる事で余計にリョウスケが見える…

視界に入れない様にしたくとも、鏡に…そして、真横に…リョウスケは嫌でも目に入る。

携帯を見る…時刻は5時を指している…

そろそろ限界だった…

何時間も立ったままなのだ、ただ立っていることがこれほど疲れるなんて知らなかった。

ふと、鏡に写るユウタが首元を何か触っているのが見え、ユウタをチラリと見た…

首を自分で締めている…

「何してんだよ!!!」とユウタの手を掴んだが、ものすごい力で、ふりほどけない!次第に顔が紫色になる。

口から泡を吹き、股間あたりがジワリと濡れていく…

ガクッと脱力した様に崩れ落ちユウタは死んだ…

……………

この時、俺は助からないことを覚悟した。

次は自分だと思っただけで、震えが止まらない。

たった一人、涙を流し、今起こっている最悪の事態を受け入れようとするしか無かった…

すると、そいつはいきなり来た!

急に腹に激痛が走ったのだ。鏡を見る…俺…

いや、こいつ…笑ってやがる…

腹を見る…ナイフが刺さっている。

いつの間にか、いつも持ち歩いていたナイフを…こいつは、尻ポケットから出して俺の腹に刺しやがった…

「いや…自分で刺してるんだ」

自分の意思では無いことを俺の口が言っている…

疲れはピークだった。今にも崩れ落ちそうだ…ナイフが刺さっている腹部分を触る…生暖かい、ぬめりと手に血がまとわりつく…

終いだ…

何をこれ以上耐える必要がある…

楽になろう…

……………ガクリと身体が崩れる姿が鏡に写るのを最後にみた…

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ガバッ!と布団から飛び起きる。

「クッソ…最悪な夢だ…」

携帯を見た…

時刻はAM10:34とある…

さらに着信あり。と表示されている。誰からか確認するとリョウスケからだ…リダイヤルする

「何だよ…」

「ああ!○○?!いやさぁ…どうする?この前誘った心霊スポット行くっての……町外れにある廃墟なんだけどさ、カナリやべぇトコらしいんだわ!ぜってえ面白いことまちがいねえぜ!?お前も行く?ユウタの馬鹿も誘ったんだけどよ!」

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「絶対ぇ…行かねぇ………………」

Concrete
コメント怖い
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匿名様、短編ドラマですか?笑
こんなドラマ誰も見ませんよ!でも、ありがとうございます。

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denden_house様、コメントありがとうございます。今後も宜しくお願いします。

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ぬこ様、僕は、小さい頃、初めてマジックミラーを見たときの違和感が今も残っています。

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鏡に実際と違う物が映るって怖いですよね...((((;゚Д゚)))))))

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774様は、オチがお気に召さなかったようですね…申し訳ありません、発想力が無くて。

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匿名様、実態のないものの方が怖いと思いませんか?

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オチがなあ

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月夢改様、本当にありがとうございます。また、投稿させていただきます。

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怖いし読みやすいし良かったです。
またの投稿お待ちしております。

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to4to4様、ありがとうございます。嬉しいです。今後も宜しくお願い致します(≧∇≦)

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来道様、もし、最悪の事態に陥る様な夢を見た時には、ご注意くださいましね。リアルになったら、シャレになりませんから。笑

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え、普通に面白くて好きですよー!
これからも是非投稿して下さい^^

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こりゃあおもしろい、つうか、怖い。
そんな状況になりたかない

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欲求不満様、ありがとうございます!(泣)

また何かありましたら、投稿居たしますので…

でも今は、皆様の素敵で怖くて怪しくてトリッキーな作品や実話をしばらく楽しみます。

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しばらく、投稿しません…失礼しました。

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