今日、私のばあちゃんから聞いた実話。
ばあちゃんは今年で80歳になるんだけど、霊感だの幽霊だのは正直欠片も信じていない。
そのばあちゃんが今日に限って、偉い興奮気味に「この話は地元じゃ禁忌やから、お前、絶対誰かに話したらいかんよ」と何度も念を押された曰く付きの話なんよ。
誰にも話せないんで、今この場に書かせてもらうけんね。
私の住んでる田舎町にO医院がある。
その医院は代々医者の家系で、古くは室町時代から大地主として町一番の資産家らしかった。
田舎町、室町時代からじゃ村だった頃から事実上の殿様扱いだったそうで、今も山や土地持ちでデッカい武家屋敷に住んでいる。
で、ばあちゃん曰く大地主のO一族に土地や畑を借りている村人達は彼ら一族に毎年米だの野菜だの献上していたとの事。
ここまではまあ普通の話だと思うが、周囲からほぼ神様扱いされていたO一族はだんだんと村人達に対する要求がエスカレートしていって、O一族の家長や男達に若い娘を貢げ!さもないと畑や土地を取り上げるぞ!っと脅したらしい。
昔は百姓が大半の町だったから、畑を取り上げられたらそりゃあ生きて行けなかったから、村人達は泣く泣く未婚のうら若き娘をO一族に差し出した…らしい。
私「その子達はどうなったん?」
ばぁ「…そんな昔に、未婚の女の子に人権なんかあるわけないやろ。妾どころか、畜生扱いやったそうや。散々弄ばれて、最後は…ほら、あの一族は山持ちやったから…」
私「…」
娘の中にはまだ幼女もいたそうで、それを最初聞いた時は私は衝撃的やった。
だって、今のO医院はとても優しい院長さんや看護士さんが熱心に地域の人達を看てくれる評判の良い医院だったから。
しかし、恐ろしい話はこれからだった。
ばぁ「ほんで、だんだん傲慢になったO一族の男連中が、よりによって村人の人妻まで手ぇ出すようになってなぁ。流石にみんな堪忍袋の緒が切れて、ちょっとした一揆みたいなのが起こったらしいわ。まあ行方の分からんようになった女性が増え過ぎて、お上さんも動いたみたいやしやり過ぎやわー。そのおかげでO一族は大人しくなったみたいやけど」
私「うんうんそれで?」
ばぁ「ほんで、怖い話はここからや。O一族では毎年お正月になったらお祝いの餅つきをするんやけど、なんでか、ついた餅が血ぃみたいに真っ赤になるらしいんよ。普通は白いやん?でも、あの家だけ餅つきをしたら、餅が全部血の色になるって。原因がさっぱり分からん言いよったけど」
私「そんなん、どう考えても祟りやん…怖いな〜」
ばぁ「そんでなぁ…O一族はもうじきお家断然するんよ」
私「…え、何で?」
ばぁ「O一族の、血を引く人間が毎年毎年事故だの原因不明の病気だので死んでるから。だって、あの家毎年誰かが必ず一人二人は亡くなって、ばあちゃんよく手伝いに行ったもの。あんたが小学生の頃に、よく近所の人が喪服来てたやろ?」
言われた私は確かに、小学生の頃にやたらご近所で葬式があるなー、なんてぼんやり思ってた。
ただそれがあの家の葬式だったとは全く知らなかった。
そして私は気になることを聞いてみる。
私「そういえば、もうすぐお家断然するってのは何で?院長先生まだいるんよね?他の身内は?子供さんとか…」
ばぁ「確かに院長先生はまだ生きてらっしゃるけど、もうあの家におるのは院長先生の奥さんだけやね〜。毎年亡くなるのは、みんな成人前の子供ばっかやったわ。他の親戚筋ももうおらんようなったし。
だから、院長先生と奥さんが亡くなったらもうあの家は誰もおらんようなるわねぇ〜」
しみじみと、残念そうにため息をつくばあちゃん。
私「それにしても、院長先生も奥さんもよう無事に生きて来らられたねー。もう祟りみたいなの?終わったんかな?」
ばぁ「や、院長先生は婿養子やからね。まああの先生は血筋的に他人やし、めっちゃ健診的でええ人やから、特別に見逃してもらえたんちゃうで?」
私「へ?ほんなら、奥さんは今何してんの?」
ここで、私ははっと気付く。
私は地元育ちで、昔からO医院にお世話になってるけど、院長先生の奥さんを一度も見たことが無いのだ。
私「なぁ、その奥さんまだ生きてるんよね?」
ばぁ「うんまだ生きてるよ。でも、ばあちゃんもまだ一回も見たことないわ」
え!
私「…はぁ?何、それ?そんなんあり得るの?」
ばぁ「う〜ん、亡くなったって聞いた事ないから、ばあちゃんもおかしいなぁ〜って思うんやけど。ほなけど、ばあちゃんだけやないで。ご近所さんも、だーれもその奥さん見たことないんよ。葬式にすら顔出さんかったし、そんなもんかなぁって思ってたけど。
でもほんま、おかしな話やけどね…」
ばあちゃんもすごく不思議そうな顔で首を傾げるだけだった。
最後まで聞いた私は、そのO一族の家が昔そんな衝撃的なことをしていたなんて全く知らなかったから、とにかくすごく不気味に感じた。
それにしても、真っ赤な祝い餅なんて相当怨まれてたんだよね…
最後まで読んでくれてありがとうございました。
作者ストロボ444
皆様初めまして。
初投稿で、しかも地元の方言混じりで一気に書き上げたせいで多少読みにくいかもしれませんが、最後まで読んで頂ければ幸いです。
この話は今日、寝る前に私のばあちゃんから聞いた実話です。
私はとにかくばあちゃんはとても信心深い人だけど、いわゆるオカルトな話は欠片も信じない人です。
そのばあちゃんが、何度も何度も「絶対、誰にも話したらいかんよ?」と、念を押されて話してくれた話です。
だもんで、寝る前にどーしても怪談系アプリに投稿したくて堪らなくて、今回こちらのアプリに投稿させて頂きました。
だってもう、泥々し過ぎて怖くて怖くて。
因果応報とはこの事かなー、と実感させられました。
最後まで読んでくれれば分かりますので、この辺で失礼致します。
あ、あと最後まで読んだからって、別に読んだ人が呪われるとか一切無いと思うのでご安心ください。