彼女は職場の同僚である彼を愛していた。
彼女の容姿はお世辞にも美しいとは言えず、同僚は皆彼女の容姿を馬鹿にしていた。
彼は美貌と才能に溢れていたが、他の同僚の様に彼女を馬鹿にしたりなどせず、とても優しかった。
その優しさに、自分が釣り合うはずがないと嘆きつつも、彼を想う気持ちを止められない。
彼女は彼に愛されたい一心で、美しくなる為の努力に全てを費やした。
その甲斐あってか、彼女は誰もが羨む程美しくなった。
今まで彼女の容姿を馬鹿にしていた同僚達も、女は羨望の、男は憧れのまなざしで彼女をみる様になった。
そして彼女はついに彼に告白をし、彼もまた彼女を愛していると熱く告げた。
翌日、彼女は会社の屋上から飛び降りてこの世を去った。
屋上に遺された遺書にはたった一言、『戻りたい』と書かれていた。
作者neo