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5年前の話になる。
この日は、久しぶりに長期の連休と言うことで実家に帰ることになった。
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いつものように、リビングで寛いでいると父が仕事から帰ってきた。
「おう、帰ってたのか」
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久しぶりに見る息子の顔が嬉しかったのか笑みを浮かべながら、俺の帰宅を歓迎してくれてた。
母も今日は張り切ってご馳走を用意してくれていた。
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懐かしい家族の団欒。
親元を長く離れると、こんな何でもないような時間も大切な時間に感じるものだ。
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食事を済ませて、風呂にでも入ろうかと風呂場に向かった。
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今日は疲れたなと、湯船に浸かっていると、両親の怒鳴り声が聞こえてきた。
何を言っているのかは聞き取れなかったが、かなりヒートアップした様子でした。
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両親は喧嘩がエスカレートしてくると、殺すだとか、お前なんか死ね!など結構過激な事を口に出す。
まぁ実際には、殺したりはしないんだけどね。
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昔から喧嘩の絶えない両親だったことで、俺はさほど気にはしていなかった。
むしろ「また喧嘩してるよぉ」って感じにしか思っていなかった。
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風呂から上がる頃には、もう喧嘩は収まっていた。
やれやれと思いながら、両親の様子を見に行った。
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どうも、いつもと様子が違った。
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いつもの二人なら、仲直りすると今まで喧嘩していた事を忘れさせるくらい、明るく振舞ってたりする。
しかし、今日の二人はと言うと父は不機嫌そうにテレビを見てる。
母の悪口かブツブツと独り言を言っている。
母も同じく不機嫌そうに食事の片付けをしていた。
おかしいなとは思ったが、そこで終り。
それ以上は特に気にしていなかった。
今思うと、この時から父はおかしかったかも知れない。
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俺も明日は地元のツレとの約束があったので、まだ早いが明日に備えて早く寝ることにした。
自分の部屋に向かっていると、階段でまだブツブツ言ってる父とすれ違った。
どうやらトイレの中に入っていったようだ。
勢い良く閉める扉の音でまだ父が不機嫌なのが伝わってきた。
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俺は二階の廊下の先にある自分の部屋まで来た。
明日の準備を済ませ、「さぁ寝るか」と布団の中に潜った。
なんだか下から物音が聞こえる。
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俺の部屋の真下はトイレだったので、父が何かしてるのかな?と気に止めず眠りにつこうとした。
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「う、うわぁぁわぁぁ!」
突然、物凄い悲鳴が聞こえた。
それは、
父の声だった。
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父のこんな叫び声は今まで聞いたことが無かったため、只事ではないと本能的に分かった。
慌て自分の部屋を飛び出し父の声がした方へ向かう。
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トイレの扉の前に高笑いしている母の姿が見えた。
右手には包丁が握られている。
「あはっあはっひゃーーははははっ!!!!」
まさか!?
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次の瞬間、異臭が俺の鼻を刺す。
嫌な予感がした。
考えたくないが、考えてしまう。
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まさか!?
まさか!?
まさか!?
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トイレの扉は開いた状態になっている。
まだ母は高笑いしていた。
「あーははははっ」
高笑いしている母を横目に恐る恐る中を覗くことにした。
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するとそこには、顔が真っ青になった父の姿があった。
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俺は何があったのか父を問い質す。
「どないしたねん!!」
すると父は徐ろに、
後ろに向かって指を指した。
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指を指した方へ目線をおくる。
その先にはベットリと血液で真っ赤に染まった便器があった。
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そう、
父は痔だったのだ。
作者ザキ男
これこそ、家庭に潜む恐怖!!