大学生の頃の話です。
三年生の秋頃だったと思います。
その日は授業が午前中までしかなく、その後の予定も全くなかったので、たまには早く帰ってビデオでも見ようと思い学校を後にしました。
平日の昼間の電車はホントに人が少なく、さらにその日は天気もよかったので、片道30分を寝て過ごすには絶好の日でした。
その電車は、一般的な窓を背にして座るタイプの車両でした。
僕は座席の両端にある手すりにもたれて寝るのが好きだったので、端っこの座席に座ってすぐに寝ました。暖房も相まって、すぐに寝れたのを覚えています。
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ふと目を覚ますと、降りる駅の二つくらい前でした。
これ以上寝たら降り過ごしちゃうな・・・。
と思い、ゆっくりと顔を上げると、向かいの席に母親と3歳くらいの男の子が座っていました。
男の子は僕をちらちら見ては、たまにニコっと笑ってきました。
僕も特にすることもなかったので、鼻をヒクヒクさせたりちょっと変顔をしたりして、男の子と少しの間遊んでいました。
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キャッキャと笑うその子がかわいかったので、欲張ってもうちょっと笑いを取ろうと、鞄に何か面白いものでも入ってないかな〜と思って漁っていると、男の子が僕の少し右側を指差して言いました。
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「あの人なんで座らないの?」
言い終わる前に母親は慌てて男の子の目を覆いました。
そして僕に軽く会釈をして、隣の車両に移動してしまいました。
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僕の右側、手すりだったんです。
もちろん誰も立ってなんかいません。
いやいやいや・・・
怖くなって立ち上がろうとしたけど、あと一駅だし・・・。
それに車内はホント暖かくて気持ちよかったので、動くのもめんどくさいなぁ。と思い到着を待ちました。
ちょっと気味の悪い体験だったけど、その後は特に何事もなく過ごしていました。
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その次の週だったと思います。
日曜に買い物に出かけようと駅に行き、改札を抜けたところでこないだの二人に会いました。
母親、と言っても若くてキレイな方だったのでよく覚えてました。
少し遠くからすれ違う形になったのですが、男の子が覚えてくれていたようで「あ!」というような顔をしてニコッとしていました。
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僕も少し嬉しくて微笑み返していたんですが、男の子の目線が完全に僕の右側に向いていたんです。
そしてすれ違うタイミングで、僕に気がついたのか、「あ!(見たことある人だ)」というような顔をして通り過ぎていきました。
ちょうど、手を振ってきたので応えたら後ろの人だった時のような感じでした。
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男の子が笑っていたので、悪いものではないと思いたいのですが、右側に分からないものがいるかもしれないという感覚はやはり少し不気味です。。
今も隣にいるとしたら、僕を守ってくれているんだと信じたいです。
ただ一つ気になるのは、もし左ハンドルの車を買ったら、
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そいつはやはり助手席に座るんでしょうか・・・。
作者退会会員
2回目の投稿。
数少ない僕の心霊体験です。