友人から聞いた話
当時友人が住んでいた地域には
見つけたトンネルと言う道があった
トンネルと言っても
100m程木々がトンネルのような形に
育っていたからいつからか
そう呼ばれ出したみたいだ
見つけたトンネルには
日の光もあまり入らない事からか
丁度中間には古い街灯が1本立っている
昼ですら少し暗いこの道を
子供達はそれは怖がったと言う
中学生や高校生の間では
見つけたさんと言う怪談が流行っていた
どういった怪談なのかと言うと
見つけたトンネルの街灯の下で
見つけてみろ、見つけて
などと言うと見つけたさんが
現れると言う怪談だ
学校によったり
学年によっては
お供えものが必要や
見つけたさんに捕まったら神隠しに
遭うなどと背ビレに尾ヒレがつき
次第に内容もエスカレートしていった
友人は幽霊など信じない人間で
何が本当か証明してやろうと
見つけたトンネルに行くことにしたらしい
いくら背ビレ尾ヒレは付いても
どこの噂でも必ず
夜中に1人でと言うのは
決まり事のようだったので
友人は夜中に1人で見つけたトンネルに向かった
昼間とはうって変わって
木々の隙間から射し込む光すら無く
頼りは消えかかっている
オレンジ色の街灯だけだ
友人は街灯の下まで行くと
多少不安ながらも
「みつけてみろよ」と呟いた
何も起こらない
やはり噂は噂
幽霊なんて居ないんだ
明日学校でみんなに報告しよう
そう心の中で思いながら
家に帰ろうとしていたら
不意に耳元で
「ミ……タ…。……ツ…ケ…。ミツ…タ…。
ミツケタ…ミツケタ…
みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけた みつけたみつけた みつけた みつけた みつけた みつけた
あははははははははは
やっ…と……みつけれた」
「う"わ"ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁくぁwせdrftgyふじこlp;」
言葉にならない叫びが腹の奥から飛び出してきた
全速力で家まで走った
今はとにかくこの場から離れなきゃ
1人はヤバい
だけど
後ろが気になる自分がいる
だけど振り返る勇気も無い
そんな事を考えながらも走り続けてると
カーブミラーが見えてきた
そうだ通るときにチラッと見てみよう
居なければよし
居たとしても直視するより
まだましだ
カーブミラーが近付いてきた
「よし、今だ」
チラッとカーブミラーを見ると
自分だけが写っていた
自分1人と言う安心感からか
足を止め呼吸を整える事にした
「すぅ~はぁ~すぅ~はぁ~」
一通り呼吸が戻り恐怖心も少し安らいだ
よし、一応後ろを確認しとくか
振り返ると……
やはり何も居ない
居ればミラーに写ってるはずだよな
「帰るか」
正面に向き直った
乱れた長い黒髪
細い縄の様な物で縫われた口が
喋ったせいで所々千切れている
本来は高かったであろう鼻は
左の頬につくほど折れ曲がっている
眼球は無く
その眼窩には漆黒の闇が広がっていた
月明かりに照らされた
それを
顔だと認識するのには
かなりの時を要した気がする
あくまで体感的にはだが
そこからどうなったか記憶がなく
目が覚めると自室で寝ていたと言う
「ところでさ、見つけたさんは
結局どうなったの?」
僕がそう聞くと友人はニヤニヤしながら
「俺はもう大丈夫怪談は伝染する
そう、ウイルスのように
よく言うだろ?
風邪を引いたら誰かに移せば治るって」
僕は鳥肌が立った
今耳元で「みつけた」と確かに聞こえたから
作者水面
怖い話二作目です
僕自身何が怖いかと考え
あえて定番なホラーを書かせてもらいました
ありきたりな物ながら
ストーリーに沿って
頭の中で想像して頂くと
多少怖いのでは無いでしょうか
皆さんが楽しんで読んでくれる事を祈って
誤字脱字ありましたら
教えてくださると幸いです