俺が20代の頃の話なんですけど!
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岐阜県は高山市にて、非常無線通信の会合があり、その帰り道での出来事
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終わったのが夕方位だったかなぁ 夏なんでまだ明るかったですねぇ
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参加者の方々と無線で交信を楽しみながら 国道41号を南下中 場所は多分上呂付近だったと思うんですが 今まで快適に走っていたのに 急に車が混み出した
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前を走る無線仲間に渋滞情報を聞くが かなり前から混でいるとの事
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助手席のB君はすでに水平飛行(居眠り)してるし それがまたメッチャむかついた
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車の速度は30~40km、我慢出来ないおれはチャンスがあれば追い越しを狙っていたが 道幅もそう広く無くまたカーブもあり おまけに追い越し禁止区間 イライラした不満を無線で連発していた
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皆さん温厚なのか 俺にあまり熱くならない様に話しかけていたと思う
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どのあたりか覚えていないが この渋滞の先頭車両がちらっと見えた かなり先の方に走っている 距離にして7~800mはあるだろう。
たまりかねたドライバー達がその車を追い越して行っている様子が伺えた
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先頭を走行中である我々の仲間が、情報を送って来た「この渋滞を引き起こしている張本人、おばはんやぁ、道路標識40kmをぴったり守って走ってるし クラクション鳴らしてもお構いなしやぁ」と イライラ口調で言ってきた
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それと同時に この迷惑な車の情報を伝えてきた 車種は赤のミラージュで ぼさぼさ頭のおばはん一人で運転していることを
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そうこうしているうちに その赤い車がはっきりと確認出来る距離まで来た
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俺は 猛烈に怒りをおぼえ一発かましてやろうとその車の後ろになるのを待った なんやかんやでB君が目を覚ました 俺はB君に事情を話し「あの前に走ってる車抜くしなぁその時窓から空き缶投げたれ!」と指示した
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いよいよその赤い車の後ろに付いた 運転しているおばはんの姿がリヤウインドーに見える おまけに窓を開けているのでそのぼさぼさした髪の毛がなびいているのが見えまたむかついた。しかし抜こうにもカーブ続きでなかなかチャンスが無い
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そこで、車載の拡声マイクで「お前の道ちゃうんやぞ!ちんたらちんたら走りやがって、みんなに迷惑かけやがってあほちゃうか!」などと暴言を連発し尻をあおった
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B君は 「お前やり過ぎやぞ」と警告し怖い怖いと言いながらシートベルトをはめた
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追い越すチャンス到来 道はまだ追い越し禁止区域 俺はアクセルをべたふみした
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B君はジュースの空き缶を手にした
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その車の運転席と俺の車の助手席とが平行になった
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「よっしゃ入れたれ!」と俺が言うのと同時だった
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「うわっ逃げろ!」 えっ?
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「何や どないしてん?」と聞くと 「いいから逃げろ」
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「何やねん」と再度聞くと「あれはヤバイ」と「何???」
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バックミラーで確認するが 俺の後に続いて何台かその車を追い抜いた為 もう確認のしようが無かった
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で、B君に「いったい何やねん」すると 今見た事を語った
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「あのおばはん、でっかい口して人間離れした顔しとったし、左手に鎌持ってたぞ!」と言った
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まさかそんな奴?と思い 後続を走る仲間に連絡し確認要請した
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各車両から赤い車の運転手の情報が入る
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変な顔をしたおばはん というだけで 鎌情報は無かった
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その時俺は、岐阜県では山姥が車運転するんか?何処で運転技術身につけたん?などと思った
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その後、我々無線仲間には、国道41号で赤いミラージュに注意する事と、鎌を持った山姥が追いかけて来るといった冗談まがいの噂を流した
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しかし あれは山姥なのか ひょっとして 口裂け女でわないだろうか。
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そう 岐阜といえば 口裂け女の発祥の地
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いやいや ただ単に口のでかい人間離れした不細工なおばはんだと思うんだが・・・
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俺の若かりし頃の出来事でした。
作者渋谷泰志