以前、自宅に盗聴器が仕掛けられているのでは、と、ある方から依頼がありました。
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そこは、西日本の大都市とでも申しておきます。あらかじめ、打ち合わせした指定場所、つまり、駅まで、向かいに来ていただいた。その方は、(仮名、Mさん)40代前半の女性の方、会社を経営しておられる。かなりセレブな女性だ。
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Mさんの、運転するベンツに乗り、Mさん宅へ向かう。途中ファミリーレストランに立ち寄り、依頼内容を確認する。なぜ、ファミリーレストランなのか、それは、Mさん宅でこういった話をすると、盗聴している犯人が、警戒して、遠隔操作により、スイッチを切る可能性があるからだ。
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そして、Mさんの住む高級マンションに案内された。地下駐車場で車を降りて部屋に入るまでは、私の指示通りに動いてもらった。
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まず、打ち合わせ通り、私が先行し、エレベーターへ乗り、Mさんが指定した階で待機し、後からMさんが、時間差でやって来るというものでした。なぜこういう事をするのかというと、ストーカー行為により、盗聴犯人が彼女を、監視しているかも知れないからである。
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Mさんが、玄関の扉を開けた。わたしは、周囲を確認し、姿勢を低くし、部屋に入った。部屋の中は、豪華な置物や、家具類、中でも目を引いたのは、長さ3メートル程の大きな水槽、海水魚が優雅に泳いでいた。流石お金持ちって感じがした。
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早速、調査開始、Mさん立ち会いの下、この部屋から出ている怪しい電波が無いか、受信周波数をスキャン。盗撮カメラの有無を赤外線で確認、また、ボイスレコーダーが、無いか、電話回線に至るまで、調査した。
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結果、この部屋には、それらしき物は見当たらなかった。しかし、隣の部屋、つまり隣の家より、盗聴電波らしきものを確認した。その事をMさんに伝え、機材をかたづけ始めた。その時である、Mさんが、話始めた。
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「実は、隣の部屋も私がお借りしています」と、私が「盗聴器かどうか確認しましょうか」と言うと、なぜか少し、ためらいながら「お願いします」と、言った。
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玄関を入ると、隣のMさん宅と少々作りが違う、取り合えず、電波の発信源を探した。発信元はすぐに見つかった。良くある、コンセント内に仕掛けてある物だった。
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すぐさまドライバーで、コンセントのネジを外し上蓋を取り外した。やはり有った。Mさんに現状とこれが盗聴器だと説明をした。Mさんは、青ざめた様子でうなずいた。(黒色で、マッチ箱半分位の大きさ、365日24時間休み無しでこの部屋の音声を電波で飛ばす。このマンションの高さだと半径500メートルは、受信エリア)
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と、同時に私もこの部屋が凄い事に驚いた。そこはSMの、プレールームなのだ。ベルトの付いた椅子や、怪しい性器具、おまけに医療器具まで有った。だからMさんが、ためらった訳がわかった。少し間を開けMさんが、この部屋の事を、話してくれました。
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この部屋は、亡くなった主人と使っていたとの事、しかし旦那が亡くなって、しばらくして、ネットで知り合った男とこの部屋でプレーを、楽しんでいたというのだ。やがて男がお金をせびる様になり、ある、事件を、きっかけに別れたことも。
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ひょっとしてその男が犯人?私は犯人捜しはしない。盗聴器を外すだけなのだ。
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Mさんは、つづけて話した。「実は、この部屋妙な事が起こるんです」それは、グラスに注いだお酒や飲み物が、飲みもしないのに、空になっていたり、急にカーテンが外れたり、誰もいないのにトイレの水が流れたりと。
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それは、旦那が生前の頃から頻繁に起こっていたという。私は少々霊的な事は解るので、部屋の中を見て回った。それといって変わった様子も無かった。そこで方位磁石を鞄より出し床に置いてみた。
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すると、この部屋の鬼門と裏鬼門に位置する場所に大きな鏡がある。これが、原因?
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念の為、サーモカメラで見てみた。不思議な事に、鏡の対角線状の空間部位がライン上に温度が低いのである。
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この事をMさんに説明した。多分、鬼門から入って来た気(霊的エネルギー)が裏鬼門に置かれた鏡に反射しそれがまた、鬼門に置かれた鏡へと、気が流れなく増幅し対流しているのではないか、ただし、私は霊媒師でも占い師でもない、ひょっとして、それが原因かも、である。
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Mさんは、私に、この鏡を取り外して欲しいと言ったが、私は内装屋じゃ無い。応急処置として、鏡に何かかぶせ様としたが、壁に貼り付けられているので、かぶす事が出来ない。
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そこで、Mさんは、沢山口紅を持って来て、鏡全面に塗り、鏡としての役割が出来ない様にした。それがまた、不気味な感じでした。
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今回も無事調査を終えましたが、現在調査依頼の約1割弱が、盗聴、盗撮とは関係無く何か霊的な存在が、潜んで、依頼主を悩ませているのも事実です。
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後に、Mさんよりお礼の電話がありました。あれ以降あの部屋における怪奇現象は無くなったとの事でした。と、いうことは・・・。
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本当のところ、もっと書きたい内容や中味があるのですが、守秘義務がある為、これが私の書けるぎりぎりのラインなのです。引き続き、過去の調査ファイルを見直し現場で遭遇した、奇妙な出来事、投稿出来そうなものは、書いていきます。
作者渋谷泰志