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短編1
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鬼の夢

母から聞いた不思議な体験を一つ。

当時私は三歳でした。

その夜。母は雨が降りしきる中、私を連れタクシーで母の姉の家に向かっていました。

自宅から母の姉、私から見れば伯母の家はさほど離れていません。車ならば10分はかからないでしょう。

そんな中、幼い私は時間も時間でしたので、母に寄りかかって寝ていました。何故、小さな子供を連れ立ってわざわざ伯母の家まで出向いたかと言うと、入院している親戚の件で話しをしなければならなかったそうで。

待ち受ける事柄に気ばかり焦る母。

その時、眠っていた筈の私が泣き出しました。

「お母さん、怖いよ怖いよ」

「どうしたの?」

「鬼が、頭ぱっくんして、『葬式に来いよ』って」

「ええ?夢見てたの?」

その後、泣いている私を宥めながら、目的地に到着。出迎えた叔母から「亡くなった。連絡がついさっき来た」と告げられました。

件の入院中の親戚の訃報で、脳内出血で亡くなったとのこと。

不思議なことに、丁度私が鬼の夢を見た頃に亡くなったそうです。

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