【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

こわい約束

隣りのうちは ぼくんちの悪口をいってると聞いた

目つきも悪いし、はっきりいって嫌いだ

いつもピリピリして、こちらを睨んでる

どうも、ぼくのおじいさんとのいざこざをまだ根に持っているらしい

いやらしいやつ

そのうち、嫌がらせがあるかも知れない

お母さんも、隣りのやつが怖いと言ってたしな

nextpage

ある時、すごくケンカの強いAと仲良く話した

はっきりいって、こいつには逆らわない方がいい

でも話をしてみると案外いいやつで

俺と同盟組むなら

ぼくが襲われた時は助けてくれるって言う

マジか!同盟組もう!

お互い助け合う条件だけど

あいつは強いから、襲われたりしない

もし隣りのやつが嫌がらせでもしようものなら

ぶん殴って貰うんだ

「あのさ、隣りのやつがなんだかぼく怖いんだ」

Aは嬉しげに「おう!おまえこれ売ってやるよ、この金属バットとナイフ、2万な。これちらつかせれば、向こうもなにも言わないぜ」

2万はぼくにはキツかった

ぼくは飼い犬のエサを自分の小遣いで買っているし…

でも、武器が先だ。犬には少し辛抱してもらおう。死にはしないだろ。

nextpage

ぼくはバットとナイフを買い、同盟を組んだ

「お母さん、ぼくさ、凄い強いやつと友だちなんだ

もし隣りのやつが何かしてきたって、絶対負けないから安心して」

お母さんは聞いてるのか聞いてないんだか

でも何と無く嬉しそう

よかった

nextpage

ある日、Aが

「おい、ケンカしにいくぞ!お前も来い!」って呼びに来た

「?」相手は、ぼくとは特に関係の無い名前。

「なんで?なにかあったの?」と聞くと、

「あいつさ、最近生意気なんだよな、今のうち潰しとこうと思って」

…うそだろ、そんな理由?

「いや…ぼくは特になにもされて無いから…」

「うるさい!おまえ!おれと同盟組んだろ!!ごちゃごちゃ言わずに来るんだよ!!」

ぼくは、バットとナイフを持って

ついていった…

そして、Aと一緒に相手をボコボコにしてきた

テンションあがってしまって

ちょっとやり過ぎたかもしれないが

仕方ない

だって、きっと悪いやつなんだもの

ぼくも怪我したけど

まぁ、なんとか帰ってきた

nextpage

そのうち、噂が立った

ぼくらがボコボコにしたやつは

なんにも悪くなかったらしい

ただ、Aの気に触っただけ

周りの人たちは、ぼくのことを白い目で見始めた

…どうしてこうなっちゃったんだ

今までわりとうまくやってきたのに

ぼくも、ぼくの家族も

すっかり世間から冷たくされるようになってしまった。

Aは、相変わらずあちこちで

バットやナイフを売ってるらしい

そのうちぼくが、襲われるかも知れないな

nextpage

「おーい!行くぞ!

おれに逆らうやつがいるんだ!」

…Aが呼びに来た

まだ、ぼくはこの前の傷も癒えてないのに

「おれとおまえ、友だちだろ!同盟組んだじゃねえかよ!!」

…こんなはずじゃ無かった

お母さんはやめてって泣いてる

でもぼく、行かなきゃ

約束してしまったんだもの

同盟組んだ相手に協力するって

○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○

Aはアメリカ、ぼくは日本、

お母さんは なんとなく集団的自衛権を許してしまった日本人です

飼い犬も日本人

戦争に向かいつつある日本と、それに流されるままな世の中が、わたしはいちばん怖い

Normal
コメント怖い
8
6
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

myvoiceさん、コメントありがとうございます
myvoiceさんならそう仰ると思いましたよ笑
戦争への導き方のお手本ですよね
「敵が攻めてくるっ!」

返信

何もしないで中韓に乗っ取られる方が怖い。

返信

奥さん、
びっくりだけどわからない人も沢山いるのですよー
本当に自衛の為に必要だと思わされている方々がっ
その予算、ぼくも大っ嫌いです
とても優遇されているようですね
悲しくすらあります

返信

群青さん、
争いで得をする者とはつるまない方がいいですね

返信
表示
ネタバレ注意
返信

あり得ない事ではないので怖いです。

返信

さとさん、あからさまな怖さからは逃げようともがきますけど、仕方ない、よくわからないと受け入れてるうち、気づいたら逃げられなくなってた、そんな状況が日本には多々あるようですね

返信

ほんとに、怖いこと。

返信