隣りのうちは ぼくんちの悪口をいってると聞いた
目つきも悪いし、はっきりいって嫌いだ
いつもピリピリして、こちらを睨んでる
どうも、ぼくのおじいさんとのいざこざをまだ根に持っているらしい
いやらしいやつ
そのうち、嫌がらせがあるかも知れない
お母さんも、隣りのやつが怖いと言ってたしな
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ある時、すごくケンカの強いAと仲良く話した
はっきりいって、こいつには逆らわない方がいい
でも話をしてみると案外いいやつで
俺と同盟組むなら
ぼくが襲われた時は助けてくれるって言う
マジか!同盟組もう!
お互い助け合う条件だけど
あいつは強いから、襲われたりしない
もし隣りのやつが嫌がらせでもしようものなら
ぶん殴って貰うんだ
「あのさ、隣りのやつがなんだかぼく怖いんだ」
Aは嬉しげに「おう!おまえこれ売ってやるよ、この金属バットとナイフ、2万な。これちらつかせれば、向こうもなにも言わないぜ」
2万はぼくにはキツかった
ぼくは飼い犬のエサを自分の小遣いで買っているし…
でも、武器が先だ。犬には少し辛抱してもらおう。死にはしないだろ。
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ぼくはバットとナイフを買い、同盟を組んだ
「お母さん、ぼくさ、凄い強いやつと友だちなんだ
もし隣りのやつが何かしてきたって、絶対負けないから安心して」
お母さんは聞いてるのか聞いてないんだか
でも何と無く嬉しそう
よかった
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ある日、Aが
「おい、ケンカしにいくぞ!お前も来い!」って呼びに来た
「?」相手は、ぼくとは特に関係の無い名前。
「なんで?なにかあったの?」と聞くと、
「あいつさ、最近生意気なんだよな、今のうち潰しとこうと思って」
…うそだろ、そんな理由?
「いや…ぼくは特になにもされて無いから…」
「うるさい!おまえ!おれと同盟組んだろ!!ごちゃごちゃ言わずに来るんだよ!!」
ぼくは、バットとナイフを持って
ついていった…
そして、Aと一緒に相手をボコボコにしてきた
テンションあがってしまって
ちょっとやり過ぎたかもしれないが
仕方ない
だって、きっと悪いやつなんだもの
ぼくも怪我したけど
まぁ、なんとか帰ってきた
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そのうち、噂が立った
ぼくらがボコボコにしたやつは
なんにも悪くなかったらしい
ただ、Aの気に触っただけ
周りの人たちは、ぼくのことを白い目で見始めた
…どうしてこうなっちゃったんだ
今までわりとうまくやってきたのに
ぼくも、ぼくの家族も
すっかり世間から冷たくされるようになってしまった。
Aは、相変わらずあちこちで
バットやナイフを売ってるらしい
そのうちぼくが、襲われるかも知れないな
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「おーい!行くぞ!
おれに逆らうやつがいるんだ!」
…Aが呼びに来た
まだ、ぼくはこの前の傷も癒えてないのに
「おれとおまえ、友だちだろ!同盟組んだじゃねえかよ!!」
…こんなはずじゃ無かった
お母さんはやめてって泣いてる
でもぼく、行かなきゃ
約束してしまったんだもの
同盟組んだ相手に協力するって
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Aはアメリカ、ぼくは日本、
お母さんは なんとなく集団的自衛権を許してしまった日本人です
飼い犬も日本人
戦争に向かいつつある日本と、それに流されるままな世の中が、わたしはいちばん怖い
作者チェリールゥ
こんばんは 国って怖いなぁと常々思っていたので、話題の「集団的自衛権」をベースに書いてみました
日本はこのまま、戦争に向かうんですかね
ほんと、やだなぁ