短編2
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被災地の出来事

はじめに断っておきたいのは、実話であるためストーリーのようにはなっていませんが良ければお聞き下さい。

2011年に起きた巨大地震で私たちNPO団体はI県O市へ支援に向かった。

災害時の情報発信、地域援助、防災など幅広く活動していたNPO団体であったため、早速各地よりボランティアや心理士を揃え、小規模ではあるものの、炊き出し支援、避難所訪問などをメインとした活動をはじめたのだ。

私はその内の心理支援グループに属し、他の心理士と共に

各地の避難所や避難所とされているはずの場所を巡った。

されているはず、というのは指定されていても実際行ってみると流されていたりと行政も把握出来ていない悲惨な状況だったからである。

その不可思議な写真が撮れたのは、4月の下旬だった。いつも通り、避難所をリラクゼーションを施すスタッフAさんら2人と心理士Sと私で訪問を終え、地元では大手のショッピングセンターに昼食に行った時のこと。

立体駐車場で活動記録のためのデジタルカメラを持っていた私は、ふと彼らが店内入り口へ向かう後ろ姿をカメラに収めた。

今思うと何故そんな瞬間を撮ろうとしたのかわからないが。。

店に入り、避難所での活動記録と共にデジタルカメラを確認していると。。。

さっきの写真が出てきた。

が、何か違和感がある。

後頭部から写ったAさんの顔の右横に何か茶色いものが

ある…

よく見るとそれは右の手の甲だった。

sound:3

初老の男性のそれとすぐわかる、ひにやけてふやけたような何かを懸命に掴もうとするような手。

一瞬にして血の気が引いた!!

Aさんの両手は普通に下に伸びている。。

だとしたらこの手は?

shake

構図で言うと、店内入り口へ向けて、Aさんの弟子、Aさんそして続く形でSがあるき、両側には駐車された車があった。

第三者の手なんてAさんを遮りようがないし

第一Aさん自身も気付くはずだ。

唯一可能性のある左側に停められた軽自動車の運転席から伸びたにしては長すぎる上に、同様に気付くはずである。

恐る恐る、Aさんらに確認してもらうと、

普段はオカルトなど一切信じない年配のAさんも蒼くなった。

そんな手も覚えがないし、自分も普通に歩いてたのだという。

結局気まずい雰囲気を打ち消すかのように

Aさんが「俺いつの間にか踊ってたんかね、手をこうやって。怒られちゃうな」と言い、その場の空気は和らいだ。

しかしこの後色々な事が起こりはじめたのは振り返ってみるとこの頃からだった。。(続く)

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