あるカップル同士が4人でバーベキューをした。天候も最高で4人はヘトヘトになって岐路につく事となった。仮にA美、B太、C菜、D一としておこう。
B太はその日、バイクで来ていた。彼女のA美も行きは一緒にバイクに乗ってきていたのだが、バーベキューで疲れ果てていたので、C菜、D一の車で一緒に帰宅する事にした。
「それじゃ、どっちが最初につくか勝負だ!」D一がB太に言った。
いつもの事だったが、その日はみんな疲れていたのでA美はB太の事がちょっと心配になってしまった。
「気をつけてね」、「わかってるって!」
そういうとB太は不意をついて先にスタートしてしまった。「ずるい!」D一はそういって車内のテンションは少し上がっていた。
帰宅後、いつもは先につくB太だったが、車がついた30分後も全くつかない。心配になってA美はB太のケータイに連絡したが一向に連絡は取れない。
C菜、D一も心配してA美のそばにいたが、夜も遅かったので帰っていった。
A美がケータイをぼーっとみていると着信があった。B太からだった。
「A美!A美!戻ってこい!」意味がわからなかった。
「ちょっとB太、あんたこそ戻ってきなさいよ!今どこ!?」A美が言うと電話は切れてしまった。
するとすぐにインターホンが鳴った。B太がふざけてるんだな、と思ったA美はすぐに玄関に出た。するとそこにはさっき帰ったC菜、D一が立っていた。2人とも暗い表情をしている。
「B太、事故って死んだって・・・」D一が言った。A美は信じられなかった。さっきB太とケータイで話したばかりだったからだ。
さっきの電話の話をするとC菜、D一はひきつった顔をして、「あいつ、お前の事迎えにきたんだよ!」と言った。その瞬間、部屋のドアを誰かが叩く音がした。
「A美!A美!こっちにこい!戻ってこい!」B太の声だった。
「行っちゃダメだよ!連れて行かれるよ!」C菜、D一が懸命にA美を止めたが、A美は愛するB太の声に引き寄せられるようにドアを明けた。その瞬間A美はなぜか病院のベットの上にいた。
あとから聞いた話では、A美、C菜、D一の乗った車は帰宅途中、ガードレールにぶつかって大事故を起こしてしまったらしい。そして、C菜、D一は即死。B太は重傷を負い生死の境をさまよっていたA美のそばにずっといて彼女を呼んでいたらしい。「A美!逝かないで、こっちに戻ってきて!」
あのままA美がC菜、D一と一緒にいたらどうなっていたのか?
作者pockie