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これは、私がまだ中学生だった頃のお話です。
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その日の夕方、私は友人Tの家の居間で、
Tと友人Mの三人でコックリさんをしていました。
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Tの家は平屋の借家で、玄関のドアが引き戸になっており、開けっ放しにされていました。
私たちのいる居間は、玄関から入り、
靴を脱いで上がってすぐ左にあり、
私は、ちょうど開けっ放しの玄関が見える位置に座っていました。
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コックリさんを続けていると、
玄関から廊下の奥に向かって通り過ぎる人影が視界に入りました。
肌着姿のおじいさんのようでした。
Tはそれに気付いていない様子だったので教えてあげようと思い、
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私「おじいちゃんきたよ。」
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そう言うとTの表情が急にこわばったのが分かりました。
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T「やめてよ。」
私「ん?」
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そして次にTが言った一言が、
私の背筋を凍らせました。
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T「うち、おじいちゃんなんていないよ・・・。」
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私「え・・・。」
T「Y(私)のお母さんが家に来た時も、同じようなこと言ってた・・・。」
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怖くなった私たちは、コックリさんなんてやってる場合じゃないと、
すぐに終わりの儀式を行いました。
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確かにその時、家の中には私とTとMの
三人しかいなかったのです。
いったい、私が見たあのおじいさんらしき人影は何だったのでしょうか?
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ここからは、あくまでも私の推測になります。
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Tの家は某遊園地近くのK市にあり、
家の前は広場のようになっていて、
その奥には森がありました。
そしてその森にはある噂があったのです。
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昔、そこが罪人の処刑をする首狩場だったと。
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もしかすると、Tの家は霊の通り道になっていたのかも知れません。
そして当時、Tは父親の家庭内暴力に怯える日々を 過ごしていました。
今思えば、そのことも何か関係しているような気がしてなりません。
作者TOL
余談ですが、この後TとMの二人は怪我をしました。偶然なのかどうなのかは分かりませんが、二人ともコックリさんをしている時に十円玉を押さえていた指を。