「ねぇねぇ、あめみやさんって知ってる?」
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A組の教室に入ってくるなり、アヤコはそう叫んだ。
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「もう放課後だってのに……元気だねぇ、あんたは」
と、呆れた顔でミサキが答える。
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噂話が大好きなB組アヤコ。帰宅部である彼女は度々放課後の教室で友人とだべっていた。
特に新しい噂を仕入れた時は、まっさきに親友のミサキに話していた。
「あめみやさん」も、その噂の一つのようだ。
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「LINEで友達申請すると、あめみやさんご相談にのってくれるんだって」
「なにそれ、ボランティアってこと?」
「それがヤバいボランティアなんだよ」
アヤコはそっと声を潜め、楽しそうに囁いた。
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「D組の松崎分かる?」
「あーあのいじめられっこ?最近見ないね」
「あいつ、あめみやさんと友達らしいんだよね」
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「は?」
「で、木谷をどうやったら殺せるか相談してたらしいの」
「木谷って……先週電車に飛び降りた奴?」
「そう!」
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「は?まじで?」
「松崎、それで登校拒否ってんの。自分がお願いしたからだって」
「え、あいつのLINEは?」
「それがさー、警察に持って行ったらしいのよ、あいつ。でも、友達リストに無かったんだって」
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「うわー……どうする?葵があめみやさんと友達だったら」
「葵?」
「うちらが1年の時に遊んでた奴。うちら殺されんじゃね?」
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「アタシもー?ミサキの方がヤバかったじゃん。便器に突っ込ませるとか漫画かよ」
「は?アヤコだって菊だのネズミだの拾って来てたじゃん」
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「そうなんだ」
「でも、全然反応なかったよなぁ、あいつ。今どうしてんの?アヤコ知らないの?」
「シラネ。ミサキの方が家近いじゃん」
「私、用事があるから先帰るね」
「え、あぁバイバーイ」
「じゃねー」
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「ミサキ、今の友達?」
「え?アヤコが連れて来たんじゃん」
「知らないよ、え、嘘」
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低いバイブ音が、教室に響き渡る。
2人はカバンからスマートフォンを取り出した。
LINEの通知だった。
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『落下注意
あめみや』
作者退会会員
今作っているフリーゲームの元ネタです。
途中から人を増やしてみました。楽しそうですね。
お喋りに花を咲かすのは女性の特権のように思います。
しかし、会話というものは誰が聴いているか分かりませんから、十分に、十分にお気をつけて。