……おっかない話、聞きたい?
したら、わしが聞いた話さするわ。
ひとりでションベンさ行けなくなっても、ばあちゃんは知らん。
——。
あるところに、りんこちゃんって、女の子の赤ちゃんがいたんだと。りんこちゃんには、お父さんと、お母さんと、まだ小さいお姉ちゃんがいたの。
あるとき、お父さんとお母さんは、二人で町さ行くことになったのよ。そンとき、お母さんはお姉ちゃんに、りんこの面倒をちゃんとみてお留守番してなさいよ、おやつは棚にあるからね、っていって、ふたりを置いてっちゃったもんさ。
お父さんとお母さんが用足ししてたら、電話がきたの。お姉ちゃんから。お母さん、林檎たべていい?お母さんがおやつに用意してた、そう、棚のやつ。お母さん、いいよ、って。電話さ切った。
うちに帰ると、お姉ちゃんは、おかえりーって迎えてくれたんだと。でも、りんこがいない。うちじゅう探してもいない。どこさ行ったんだべ、お姉ちゃん、りんこは?
りんこ?
おいしかったよ。
お姉ちゃん、あンとき電話で食べていいか聞いてたのは、りんこちゃんのことだったんだと。
——。
おっかないべ。まだ続きがあるの。
あわてて吐かせようとしたんだども、もうだめで、病院さ行ったんだと。そんで、先生にお姉ちゃんさ診てもらったら、
お姉ちゃんの口が、耳まで裂けてたんだと。
作者隅漣
私のおばあちゃんから聞いた話です。