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短編2
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深夜のサラリーマン

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これは深夜2時頃に

飼っていた犬の散歩に行ったときの話。

私は犬を連れて家の門を出た。

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すると、向こうから

スーツを着た一人の男性が歩いてきた。

下を向き、なんだか

元気のない様子だった。

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サラリーマンだろうか。

こんな時間まで仕事だったのだろうか、、

ふとそんな不思議な気持ちには

なったが、その時は特に深くは

考えなかった。

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その男性とすれ違うとき、

こんばんわ、と挨拶をかけた。

しかし相手は顔をあげもしないで

すーっとそのまま歩いていって

しまった。

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よほど疲れていたのだろうか。

そう思い、私はしばらく歩いた。

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そういば、私の犬は知らない人を見ると

必ずその人に向かって吠えるのだが

あの男性には見向きもしなかった。

まるで、そこに存在していないかのように

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一本道を歩き、角を曲がると

また向こうから誰かが歩いてきた。

今日はよく人に会うなあ、

と思い私もその人に向かって歩いていく。

だんだん距離が縮まっていき

相手の顔が見えてきた。

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すると、それはさっき一本道で

出会ったあのサラリーマンではないか。

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ありえない。

絶対にこんなところで会うことは

ありえないのだ。

すれ違った時男性が歩いていく方向の道は

まだまだ長い道のりで

自分より早くこの道に辿りつくことなんて

絶対にできない。

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私の歩くスピードが落ちていく。

どうしよか、

来た道を戻ろうか。

しかし今ここで相手に背を向けては

何か嫌なことが起こるような気もした。

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私はそのまま前へ歩いていく。

男性も私の方向へと歩いてくる。

そしてついに私のほぼ目の前に、、

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男性は私の横をすーっと通り抜けていく。

顔は下を向いていて

はっきりとは見えない。

そうだ、犬。

犬にも見えているのだろうか。

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ふと犬に目をやる。

しかしさきほどと同じように

私の犬は何事もないように

この場には私と犬しかいないように、、

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振り返ろうか。

そんな思いがよぎった。

確かめたい。

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しかし私は結局振り返ることができずに

そのまま無事家へと帰った。

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あの人はいったい何だったのだろうか。

私に何かを伝えようとしたのか。

それから私はあの男性には会っていない。

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しかし今でも明確に言えることは

この世のものでは決してなかった

とゆうことである。

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