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これは深夜2時頃に
飼っていた犬の散歩に行ったときの話。
私は犬を連れて家の門を出た。
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すると、向こうから
スーツを着た一人の男性が歩いてきた。
下を向き、なんだか
元気のない様子だった。
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サラリーマンだろうか。
こんな時間まで仕事だったのだろうか、、
ふとそんな不思議な気持ちには
なったが、その時は特に深くは
考えなかった。
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その男性とすれ違うとき、
こんばんわ、と挨拶をかけた。
しかし相手は顔をあげもしないで
すーっとそのまま歩いていって
しまった。
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よほど疲れていたのだろうか。
そう思い、私はしばらく歩いた。
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そういば、私の犬は知らない人を見ると
必ずその人に向かって吠えるのだが
あの男性には見向きもしなかった。
まるで、そこに存在していないかのように
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一本道を歩き、角を曲がると
また向こうから誰かが歩いてきた。
今日はよく人に会うなあ、
と思い私もその人に向かって歩いていく。
だんだん距離が縮まっていき
相手の顔が見えてきた。
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すると、それはさっき一本道で
出会ったあのサラリーマンではないか。
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ありえない。
絶対にこんなところで会うことは
ありえないのだ。
すれ違った時男性が歩いていく方向の道は
まだまだ長い道のりで
自分より早くこの道に辿りつくことなんて
絶対にできない。
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私の歩くスピードが落ちていく。
どうしよか、
来た道を戻ろうか。
しかし今ここで相手に背を向けては
何か嫌なことが起こるような気もした。
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私はそのまま前へ歩いていく。
男性も私の方向へと歩いてくる。
そしてついに私のほぼ目の前に、、
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男性は私の横をすーっと通り抜けていく。
顔は下を向いていて
はっきりとは見えない。
そうだ、犬。
犬にも見えているのだろうか。
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ふと犬に目をやる。
しかしさきほどと同じように
私の犬は何事もないように
この場には私と犬しかいないように、、
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振り返ろうか。
そんな思いがよぎった。
確かめたい。
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しかし私は結局振り返ることができずに
そのまま無事家へと帰った。
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あの人はいったい何だったのだろうか。
私に何かを伝えようとしたのか。
それから私はあの男性には会っていない。
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しかし今でも明確に言えることは
この世のものでは決してなかった
とゆうことである。
作者みにゃみ