「どれにしようかな神様の言う通り」
深夜に突然聞こえてきたその声は子供のようだった。時計を見ると夜中の二時。こんな時間に子供が何をしているのかと、玄関へ向かい扉を開けるが、外には誰もいなかった。
ここは一階と二階に四部屋ずつある古いアパートで、全員が一人暮らし。どこにも子供は住んでいないはずだ。近所の子の悪戯か?しかし、夜中に子供が出歩くのはあり得ないと思うのだが。
その日の朝、サイレンの音で目を覚まし、外に出てみると、救急車がアパートの前に止まっていた。すると、一階の住人が随分と苦しそうな顔をしながら、病院へ運ばれていった。
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「どれにしようかな神様の言う通り」
また夜中に子供の声が聞こえた。玄関へ向かい扉を開けるが、やはり誰もいない。隣の部屋に子供でも遊びに来てるのだろうか?その日も特に気にすることなく布団に戻った。
その日の朝、仕事へ行こうと家から出ると、ちょうど隣人も家を出るところで「おはようございます」と声をかけたが無視され、そのまま行ってしまった。普段は元気に挨拶を返してくれるのだが、なにかあったのだろうか?随分と虚ろな目で顔色も悪かったが…
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「どれにしようかな神様の言う通り」
連日聞こえるこの声は一体なんなのだろうか?そういえば、病院に運ばれた住人が亡くなったそうだ。原因はわからず、運ばれたその日の夜に死んだらしいが…。
その日、仕事から帰ると大家さんが血相を変えて、私のところへやってきた。なんでも、アパートの住人が仕事中に倒れて病院に運ばれたが、そのまま亡くなってしまったそうだ。同じアパートの住人が二人も死んでしまった。嫌な偶然だ。
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「どれにしようかな神様の言う通り」
また聞こえる。夜中にそれだけ言うと、特に騒いだりすることもしない。だが、子供が何を思ってこんな時間にこんなことをしているのだろうか。
朝になると、また大家さんが私のところへやってきた。昨晩、隣人が山中で首を吊って死んでいるのが発見されたそうだ。死亡したのは、挨拶を無視して行ってしまったあの日。さらにその日、工事現場で働く住人が作業中に足を滑らせて転落死してしまったそうだ。
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「どれにしようかな神様の言う通り」
最近立て続けに住人が死んでいるが、この声と何か関係があるのだろうか。この声が聞こえたその日の内に必ず住人が一人死んでいる。その日もアパートの住人が死んだ。車を運転中に事故を起こしたらしいが、詳しいことはわからない。ここまでくると偶然ではない。やはりあの声の主が…
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「どれにしようかな神様の言う通り」
またアパートの住人が死んだ。住人が働く職場で火事が起こり、逃げ遅れた住人はその後、焼死体で発見された。
やはりあの声のせいだ…。このままでは自分も…
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「どれにしようかな神様の言う通り」
そして、その日も死者が出た。大家さんがトラックに撥ねられて亡くなったそうだ。私はこのままでは自分も殺されてしまうと思い、近くの安いホテルに泊まることにした。しばらくここにいれば大丈夫だ。あのアパートにいなければ死なずに済むはずだ。
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「どれにしようかな神様の言う通り」
しかし、あの声は聞こえた。あのアパートにいなければ大丈夫じゃないのか?扉を開けるが、やはり誰もいない。その日は一睡もできず、気がつくと朝になっていた。
一体どうすればいいのか、頭を抱えて悩んでいると、やけに外が騒がしくなっていた。しばらくすると、サイレンの音が聞こえ、窓から外を見るとパトカーが何台かホテルの前に止まった。後で聞くと、ホテルの一室で首を吊った男性の遺体が発見されたそうだ。またこの声が聞こえたその日の内に人が死んでしまった。次の日も、その次の日も…。
泊まる場所を変えてもその声は聞こえた。どうやらこいつは私についてきているらしい。
それから私は今も逃げ続けている。なるべく部屋数の多いホテルや漫画喫茶に泊まり、あの声に殺されないように、あの声がいつか聞こえなくなることを願って……
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どれにしようかな神様の言う通り………
君にきーめた………
作者一日一日一ヨ羊羽子
「子供の悪戯」って響きは可愛いけど、こうなると只々怖いだけですね。