小学校の3年生の頃…当時九つの私は、学校で“いじめ”にあっていました。
幼なじみの友達はいたのですが、一人で過ごす方が楽に感じてきていました。
そんなある夏の日…。
公園のお気に入りの場所…大木の下で、
一人おやつを食べていたら、学生服姿の男の人がやってきました。
学ランに学帽、黒の革靴に白手袋をはめていて、手には紙の箱を持っていました。
高校生のお兄さん…と思ってぼんやり見つめていたら、
その人は「隣、座っても良いかい?(←凄く低い声)」と一言。
私は「どーぞー…」っと言って、ちょっとずれました。
お兄さんは紙箱から何かを取り出し食べはじめました。
それは“紅白まんじゅう”でした。
…その後、そのお兄さんとはいろいろな話をしました。
お兄さんはうなずいたり笑ったりして、私の話を聞いていました。
すっかり日も暮れた頃、お兄さんが「もう、帰るね」と言いました。
私が「明日もここに来る?」と訊ねると、
お兄さんは「…分からないね…」と答えました。
「お友達になろうよ」と、私が握手するつもりで
お兄さんの手袋に包まれた手を握ろうとしたら…
「だめだよっっ!!」っと凄くきつい一喝。
当時の私は腹が立って、その場を立ち去りました…。
次の日に同じ場所に行きましたが、お兄さんは現れませんでした。
…で現在、ある日ふとこの事を思い出して、
霊感の強い先輩にその事を話したら、
「あんた……その人は優しい人だったんだね…。
もし、あんたがその手をつかんでいたら・・・連れて行かれる所だったよ。
そのお兄さんは、連れて行きそうな事を分かっていたから、だめだよって言ったんだよ…」
…とおっしゃいました。
どうやらそのお兄さんは…その…ずいぶん昔に……。
カッコ良くて優しい学生さんでしたが、これが初恋だとは…………。
作者ほのか