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私が子供の頃、雷が鳴るとよく停電していました。
ある日の夜、姉と一緒にお風呂に入っていた時、突然真っ暗になりました。
「きゃー!」
停電でした。
その頃の私にとって、家中の電気が突然消える事は、ものすごく恐怖でした。
しかも、お風呂に入っている時なんて最悪です。
真っ暗で何も見えない。
「こわ~い!」
怖くて目を瞑りました。
そして、姉と手を繋ごうと思い、真っ暗な中、両手で手探りしました。
すると、すぐに右手が手を触ったので、私はその手を掴み、握りました。
もう片方の左手も、手を触ったので、その手も握りました。
ぎゅーっと握ると、姉もぎゅーっと握り返しました。
私は、両方の手を握っていたので、ひとまず安心しました。
しかし、その時の停電は長く、なかなか電気が点きません。
左手で握った手が、指の力を緩めて離したそうな感じがしたので、
少しイラっとして、
「このままでいて。」と言いました。
すると動きを止めて、仕方なく私に握られていました。
しかし、時間が経つに連れて、何かがおかしいと思い初めました。
左手で握っている手が、姉にしては大きい。
そして、冷たい。
体温が全く感じられない。
変だ・・・。
しかも、姉の気配は私の右側・・・。
時間と共に冷静になってきて、別の意味で怖くなった。
それと共に急に身体が冷えて、寒くなってきた。
・・・やっぱりおかしい。
私は、握っていた左手を、さっと離した。
その瞬間、その手が一瞬動いたように感じた。
だが、その直後、やっと電気が点いた。
・・・やはり姉は、私の右側に立っていた。
私の左側は壁だったが、怖くて見れなかった。
それでも姉に確認しようと思い、
「私と両手握ってたよね?」
と聞いてみた。
「え?片手しか握ってないよ。なに、怖~い!」
と言い、姉は逃げるようにお風呂場から出て行ってしまった。
私も怖くなり、慌ててお風呂場から出た。
その時、後ろの左上の空間が、ゴーっと音を立てて渦を巻いている様に感じて、更に怖くなった。
姉の手だと思って握っていた手が、姉では無かったなんて・・・。
左手で握っていた手の感触が残っていた。
あれは大人の女性の手だった。
普通に柔らかかったけど、冷たくて、無機質な人形の手の様だった。
考えたくなかったけれど、私は停電の間、ずっと幽霊の手を握っていたのだ。
ホラーで壁から手が出てくる話はあるけれど、その手を握った話なんて聞いた事が無いですよね?
今思い出してもゾッとします。
作者you