今から数年前のある日の夜、部屋でテレビを見ていると、
「キーーーーン!」と、電子音の様な変な音がどこからか聞こえて来ました。
何とも言い難いとても不快な音でしたが、原因が分かりません。
その音が2、3日続きました。
そんなある日、壁のあたりから女性の声が聞こえてきたので、
私は盗聴器の様な物でも仕掛けられてしまったのだろうと思い、
世の中には悪趣味な人もいるもんだ......しかも女性なのに......と思っていました。
その声は、初めは一定の場所から聞こえていたのに違う場所からも聞こえたので、
きっと無線のような物でも使っているのだろう、と思いました。
そんなある日、
女 「ねぇ、私達の事何だと思う?」
私 ..........はぁ?
女 「じゃあ、なぞなぞ出すねー。
過去と未来を行ったり来たりできるもの、なーんだ!」
私 「え?何これ?」
女 「声を出さないで。声に出さなくても私達聞こえるの。
........あのね、私達、何だってできるの。
近所の○○さんの孫が東大に行けたのは、私達のお陰なの。
頭が良い人の脳と交換したの。その代わり、○○さんの体を借りてたの。」
私 「・・・・・・・・・・。」
女 「あのね、お願いがあるの。私達体が無いの。ご飯を食べる時に体を貸して欲しいの。
ご飯を食べる時だけでいいから許可して欲しいの。それと、私達住む場所が無いの。
だから此処に住まわせて欲しいの。邪魔はしないから...。」
体を貸してくれ?家に住みたい?何これ.....。
ふざけているにも程が有る。
しかも、近所の人の名前まで出して気味が悪い。
言っている内容がバーチャル過ぎる.........。
単にヤバイ変人なのか、それとも本当の幽霊なのだろうか........。
その近所の○○さんと言えば、確かに孫が良い大学に行った事は聞いて知っていた。
東大だったとは知らなかったけれど。
その○○さんは、まだ60歳そこそこなのに、いつも腰を90度位曲げて歩いているのを見かける。
腰が痛くてその体制になってしまうらしいのだ。
その歩き方のせいで随分歳をとっている様に見えてしまう。
その叔母さんの体を借りていたなんて.......。
脳を交換した話は流石に嘘だろう。
本人が頑張って勉強したから良い大学に行けたはずだ。
きっと、うまい事を言ってどうにか人の体を借りようとしているのだろう。
厄介なものに来られてしまった........。
体なんて貸したらどうなるか分からない。
痛そうに腰を曲げて歩いている○○さんを想像した。
例え幽霊じゃないとしても、こんな事を言う人はヤバイ人だ。
.............無視だ。無視しよう。
女 「今から私達の顔をテレビに映すよ。」
私 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
ふと思いたち、テレビのチャンネルを連続して変え続けた。
チャンネルの電波が合わなければ、テレビに顔を映す事なんてできないだろうと思ったのだ。
しばらくの間、テレビのチャンネルを変え続けた。
女の声は聞こえなくなっていた。
きっと諦めたのだろう。
それに、気のせいだったのかも知れない.......。
そう自分に言い聞かせた。
深夜の1時頃だっただろうか。パチンコの番組がやっていて、それを何となく見ていた。
当時、その番組には太った内山君が出ていた。
パチンコ台の前に内山君が座り、その様子を斜め横から映している映像なのだが、
そのパチンコ台の表面のガラスに、髪の長い女性がカメラ目線で『ニヤ~』っとした顔がはっきり映っているのだ。
どう考えてもおかしい。
角度からすると、パチンコ台のガラスには目の前に座っている内山君が映るはずなのに、ガラスには上半身の女性の姿がはっきり映っている。
しばらくその女性は、カメラ目線でパチンコ台のガラスに映っていた。
あり得ない状況に、私はしばらく見入ってしまった。
........これがテレビに顔を映すと言った事なのだろうか?
生放送じゃないのに、あり得ない。
しかも、テレビの中のパチンコ台のガラスに映るって...........。
テレビの画面に何か細工でもされたのだろうか?
全国の視聴者のテレビには、どう映っているのだろう?
内山君は大丈夫なのだろうか?
........色々な事を考えいた。
女 「私達の顔、テレビに映ったでしょう?どうだった?」
........無視しよう。
私はきっと疲れてるんだ。
自分にそう言い聞かせ、寝る事に専念した。
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それから間もなくして、内山君が女性問題で訴えられたとワイドショーでやっていた。
その後、レギュラーだった夜中のパチンコ番組にも出演しなくなってしまった。
あの出来事で、内山君に霊的な災いが降りかかってしまったのではないだろうかと思ってしまいます。
続きはまた後程。
作者you