俺の近所で、キチガイの女がいてさ、
「たってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたって」
とかいいながら、走り回ってるんだけど
周りの人はみんな慣れっこで、基本無視だった。
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まあ、当たり前なんだけど、夜出歩くやつは居ない。キチガイに何されるかわかんないから。
でも、どうしても夜出掛けなくちゃいけない用事があった俺は、キチガイに襲われた時のために、
棒を隠し持って、出掛けた。
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でさ、歩きだったんだけど、やけに静かだなーと思ってさ、
いや、いつもならアイツが「たってたってたってたってたってたってたってたってたって」
って言ってるもんだから、少しは声が聞こえてもおかしくないんだけどさ、ふいに振り返ったら、30cm離れたところ、つか、ほとんど目と鼻の先にいた。
俺も、さすがにビビってさ、
「うわぁぁぁぁ!!」
って大きい声出しちゃったんだよ、したら
「たってたってたってたってたってたってたってたってたって」
って叫びやがって、
俺涙目で逃げた、
でも、めちゃくちゃ足速いんだよそいつ
あっという間に追いつかれて、
「たってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたって」
って言うから、
「な、何ですか(涙目)」
ってよく聞いたら、
「たってたってたってたってたってたってたってたってたって」
じゃなくて、
「たすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけて」
って言ってた。
でも、たすけての意味は分からなかった。
そこで棒を思い出して
急いで出して
殴ったら
あたりどころがよかったみたいで、
「ウオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
って言ってしゃがみこんだから、
家に逃げて、鍵も全部閉めて固まってた、
そしたら
「たってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたって」
っていいながらドアを
ダダダダダダダダダダダダダ
って叩いてきやがった。
びっくりして、布団かぶってたら
音が止んだ。
良かったと思ってたさ、
後ろ見た居るのよ、そいつが
ベランダ開いてたみたい。
「たってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたってたって」
……………………
「それでさー俺君と連絡取れないんだよね。」
「やば、なんかあったのかなー」
「そう言えば、あそこら辺、キチガイの男が出るらしいよ」
「俺君、大丈夫かな~」
作者糸
最初のキチガイと最後のキチガイに注目してもらえれば、意味が解ると思います。