中学二年の時のこと。
夏休みに入って一週間が経ったその日、部活に向かう途中我慢が出来そうになかったので、公園に備わっているトイレに入ることにした。
たいして古いトイレではなく、時間も朝8時であったため、幽霊が出そうな雰囲気は全くなかった。
用を終えて手を洗っていた時、チャラそうな男が入って来た。
電話に向かって、「だぁからー、それはあれだってアレ!!わっかんないかなぁー」と大声で話しかけ、電話の相手も何やら大きな声で応答している。
さっさとトイレから出ようと男の横をすり抜けた直後、携帯から漏れていた聞き覚えのある声に思わず足が止まった。
「あ、そいえばさー」「お掛けになった電話番号は」「タバコ買ってきてくんね?」「現在使われていないか、」「あぁ!?マルボロだって前も言っただろーが!!」「電波の届かない...」
それ以来あのトイレには近付いていない。
作者眼鏡