急に寒くなったころのこと。
ちょうどその頃は、寒さで眠りが浅く夜中に目が覚めてしまうことが多かった。特に我が家は少し軋んだ一軒家。少し離れたところから住宅が増えるものの、周りはこれから開発される空き地ばかりで、最近近くに引っ越してきた夫婦の家以外はない。
その為か、未だに祖母を除いた家族全員で和室で寝るのが普通だ。
nextpage
そんなある日、夜中に目が覚めた。妙な感覚がして、中々寝付けなかった私は、しかし違和感に気付けなかった。
しばらくして、むしろ冴えわたってきた頭で気付いたのは、声だった。ヘリウムを吸ったような高い笑い声と、掠れた低い笑い声。和室の隣の、リビングからする。近所の家は逆方向なので違うし、祖母は足が悪いため夜中はトイレ以外では起き上がらない。
私は怖くて怖くて仕方なくて、目をつぶっていたら、いつの間にか寝ていたらしい。気付いたら朝になっていて、とてもほっとした。
やはり祖母でも、その他家族でもなかったらしいのは、後で聞いてわかったことだ。
作者退会会員
声が聞こえるあたりまでは、実話です。ただ実は、声に聞こえたのは父の寝息といびきでした、と言うのがこの話のオチです。
初投稿で汚い文章ではあったとは思いますが、読んでくださり、ありがとうございました。