短編2
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夢と違うじゃねぇか

私が今まで聞いた中で後味の悪かった話です。

私はマンションに父と妹と三人で暮らしていました。 母は私が幼い時に亡くなりました。

ある日、父は県外に泊りがけで出張に行くとのことで妹と二人で過ごすことになった。

父は出かけるとき「鍵はしっかり閉めるんだぞ」 と言いました。 父を見送り、鍵をしてチェーンをして、部屋に入りました。

夜がきました。 テレビをみているとチャイムがなりました。 妹がダッシュしてドアを開けました。

誰もいません。

私は妹に「誰だか分からないのに勝手に開けちゃダメでしょ!」と注意しました。

すると電話が鳴ったので、私が出ることにし、妹に鍵を閉めるように言いました。

ご飯も食べ、風呂にも入り眠りにつきました。

ガチャガチャガチャガチャ ドンドンドン

玄関のドアを叩く音がしました。

もちろん父ではありません。

玄関まで行くと、鍵がゆっくりゆっくり 開けられて行きます。

ヤバイ!

私はドアノブを引き、開けられないようにしました。 相手の黒い手袋をした手が見えます。

「どうしたの?」と覗きにきた妹に、隠れるように言いました。 ただ者ではありません。

しかし力は及ばず、私は刺された。 妹も刺されたようです。

「ぎやぁぁぁぁ」

・・・

・・・

・・・

夢でした。妹も同じような夢を見たようです。 私はふと思った。 チェーンしてない?!

私はすぐ玄関に行き、鍵を確認し、チェーンをしました。 案の定、チェーンをしていませんでした。 そしてリビングに行こうとした時、

ガチャガチャガチャガチャ と音がしました。 声も出ませんでした。 そして、また

ゆっくりゆっくり鍵が開けられていきます。

そしてそいつは自分のほうにドアを引いた。 やはり黒い手袋をしていた。

夢と違い、チェーンがしてあったので、それ以上は開けられなかった。

するとそいつはヘリウムのような気持ちの悪い声で

「何だよ、夢と違うじゃねぇか」

と言って強引にドアを閉めた。

私はすぐ鍵をした。

安堵感からか、寝てしまいその後の記憶はない。

ただ、それが事実だと確信したのは、

朝起きると 玄関のドアを開けると黒い手袋が落ちていたことだ。

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