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短編2
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自動ドア

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僕の友人で、自称霊能者が居た。

彼と僕は高校三年生の夏休みまで同じコンビニでバイトをしていた。

ある日彼と話していると

「あのコンビニの自動ドア…居るよな」

急に始まった怪談話に僕は何のことかわからなかったが、彼は続けた。

「…21時ぴったりに、自動ドアが開くこと…ないか?」

思い当たらない。

いや、そんなに意識していなかったから分からなかったが、彼は続けた。

「そう、21時になったら、入って来るんだ…人なのか動物なのかさえ分からない奇妙な『物体が』」

ゾッとする。

僕の知らないうちにそんなものが入ってきていたのか!

「で、そいつは何をするん?」

尋ねると少し間を空け。

何もしない、と彼は答えた。

「何もしないけど、見てる」

何を?と問いかける。

「何も見てないんだけど、見てるんだ」

よくは分からないが、こんなときいつもニヤニヤしている彼の顔は、緊張しているように見えた。

その後、彼はコンビニのバイトを突然やめた。

理由は店長と揉めたからだと聞いたが、僕には別の理由があるような気がしないでもなかった。

彼の入っていたシフトが空いたので埋め合わせでそのシフトに入った日のこと。

自動ドアが開いた。

「いらっしゃいませー」

と挨拶をしたが、誰も入ってはこなかった。

脳裏に彼の言葉が蘇る。

「…入って来るんだ…奇妙な物体が…」

身震いをした。

耳鳴りがし、その自動ドアの向こうの闇から、人間の顔がヌゥッと出てくる…。

何てことはなかったが、今の店内に目に見えない、彼が恐れるほどの『物体』がいるのだと思うと気が気ではなくなってしまった。

後日、彼にその話をすると

「お前には見えんかったか」

と笑い、そのコンビニで遭遇した別の話を語って聞かせてくれたのだが、その話はまたの機会に話そうと思う。

ちなみに、今でも21時に自動ドアが独りでに開くところを度々目撃することがある。

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