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短編2
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押入れ

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僕の友人だった奴から聞いた話だ。

小学校五年生の頃の話だ。

俺は『白い影』との遭遇により、弱まっていた霊感を取り戻しつつあった。

リビングの隣に、最早物置と化している和室があり、風呂上りにパジャマを取りに和室に足を踏み入れ、電気をつける。

チッチッチと電球がストロボ点灯をするのだが、半開きの押入れの襖の中に女が見えた。

ゾワゾワと嫌な感触が全身に走る。

鳥肌だ…

数分経っただろうか?

未だに俺は動けないでいた。

高校二年生最後の冬、久しぶりに押入れのドアに手をかけた。

スゥゥ…、と襖の木と木の擦れる心地よい音が鳴る、居るな、俺は確信する、押入れの中だ、リビングとは違い、冷たい空気が部屋を覆っている。

襖は僅かに隙間を空けている。

まるでその隙間がこの世とあの世を繋ぐ口のように思えるが、襖に歩み寄る。

開く。

目の前に、大きく目を開き青白い顔をした女の姿がそこにはあった。

俺が苦しんでいた小学校五年生…いや、幼少期から続く悪夢の黒幕だ。

女はこちらに手を伸ばす。

青白い中に紅い筋が見える。

冷たい手だった。

『 』

呟く。

女は動きを止めた、俺があの人に託された言葉だ。

女の姿が歪む。

まだ消えない、もう一度呟く。

女が何か言っているが、聞こえない、口を動かしているが、いびつに歪んだ女の顔

また口が動く。

すると、女は雪が溶けるように消えて無くなった。

この話をしていた時の彼の顔を俺は未だに忘れられないでいる。

いつも不敵な笑みを浮かべていた友人

彼を助けていたというおっさん。

二人はこの街にはいない。

いや、この世にももう居ないかもしれない。

「人間は幽霊を退治できない、出来るのはただ…ただ連れて行ってやることだけだ」

僕はその言葉の意味をいずれ知らなければいけないのだろう。

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