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長編12
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M山の怪奇談

music:1

これから話すのは俺が経験したことを元にした。フィクションです。

少し長いかもしれないので、飲み物でも用意して聞くといいかもしれません。

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5月の初めぐらいのことだ。

高校に入学して間もない俺は、近くの席だった野火、銀原、桃内と仲が深まり、いつメンとなった。

そしてある日、野火がこんな話を持ちかけた。

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野火「ねえねえ、M山の噂知ってる?」

桃内「M山って、お化けとかが出るって有名な?」

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念の為、山の名前は伏せさせてもらう。M山というのは、俺の学校からそう遠くない、自転車で片道10分程の位置にある山だ。

よくある噂だが、その山には"出る"らしい。

野火「そうそれ、それでね。M山のお化けには、王様みたいなのがいるらしいんだ!」

銀原「王様ぁ?なんだそれ、お化けの王国でもあるのか?」

野火「そうじゃなくて、なんていうか…リーダーっぽいのがいるっていうか…」

江渡「はあ…つまり、そのお化けとやらを従える中心的存在がいるってことだな。」

野火「そうそう!そういうこと!」

桃内「それで、どうしたの?」

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野火は桃内の言葉を聞いて、

待ってましたと言わんばかりにこう言い放った。

野火「そのお化けの王様を、僕らでやっつけようよ!」

…馬鹿馬鹿しい、最初に思い付いた言葉はこれだった。

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桃内「えー!面白そう!野火くんに賛成!」

銀原「あー?でもお前、めっちゃ怖がりじゃん。」

銀原の言うとおり、野火は超怖がりのくせにオカルト好きなのだ。まあ、こういうヤツはよくいるか。

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野火「そ、そうだけど、ほら!

銀原くんは力も強いし、お化けとか倒せるよ!ちなみに今のところ、GW中に行こうかなって思ってるんだけど…」

銀原「俺も行く前提かよ!なに勝手に決めちゃってんのぉ!」

桃内「えー?銀原くん行かないの?私は行くけど…」

銀原「え?い、いや、俺は…行ってもいいけどよー…」

銀原…桃内のことが好きなのかもしれない。

根拠は無いが、ふとそう思った。今度これをネタに脅そう。

野火「なら一緒に行こうよ!

もちろん江渡もね!」

俺はためらわず、即答した。

江渡「断る!」

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野火「えー!?なんで!?」

江渡「くだらねぇし、GW中は忙しい。」

銀原「とか言ってぇ、怖いんだろー?本当は?」 

江渡「GW中は忙しいっつってんだろ。」

桃内「忙しいなら仕方ないよ。」

野火「うーん、そうだね。3人だけでお化け退治に行こうか…」

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そんなわけで、お化け退治とやらに俺は参加しなかった。

事実、GW中は旅行に行ったりで何かと多忙だったからだ。

そして野火、銀原、桃内の3人はGW…5月3日頃早朝にM山へ向かったらしい。

M山は山道も整備されていて、奥深くへは進めないようになっているらしい。

それに単純なアイツらのことだ。途中で飽きてノコノコと帰ってくるだろう。旅行中に俺はそんなふうに考えていた。

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…だが、それが大きな間違いだった。

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俺は5月4日頃の夜に旅行から帰って来た。

富士山を見てきたのだ。父、母、姉、そして俺の家族4人、水入らずの旅行、それなりに楽しんできた。

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帰って来た俺はふと野火達がM山に行った結果どうなったのか、気になった。

俺はLINEで野火にメッセージを送った。

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【M山はどうだったんだ?どうせ途中でノコノコ帰って来たんだろwww】

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しかし、既読はなかなかつかなかった。いつもなら野火のLINEの既読がつく速さは異常だ。

メッセージを送って5秒以内に既読がつく。最初の頃はさすがの俺もビビった。

まあこういうこともあるだろう。

…心ではそう思っていたのだが、その時俺は、何故か胸騒ぎを覚えていた。

野火のスマホに電話をかけた。

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……しかし、出ることは無かった。

もう寝たのか?

いや、夜とはいえ、まだ20時だ。寝るにはあまりにも早すぎる。

なら風呂にでも入ってるんだ。

俺は野火と連絡を取ることを諦め、銀原、そして桃内にも同様の連絡を取ろうとした。

…だが、結果は同じだった。

全員出ない。何故だ?全員寝てしまったのか?

それとも全員同時に入浴……いや、さすがにそれはないだろ。

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疑問を覚えつつも、その日は旅行から帰宅したばかりだったせいか、疲れを感じた俺は早めに眠りについた。

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…胸騒ぎは収まらないまま。

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―次の日。

朝早く目が覚めてしまった俺はLINEを見た。…しかし、3人共、既読がついていなかった。

ここまでアイツらのことを気にするのは異常かもしれない。だが、その時は本当に強い胸騒ぎがした…

朝飯を食い終わった俺は自宅から一番近くの銀原の家へ向かった。

…そこで、俺は胸騒ぎの正体を知ることとなった。

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銀原の家に辿り着いた俺は家のチャイムを鳴らす。出てきたのは銀原の母親だった。

俺はとりあえず銀原はいるかどうかを聞いてみた。…だが、悪い予感というのは当たるものだ。

銀原の母親が言ったことは以下の通りだ。

・5月3日の朝早くに野火と桃内と出かけてくると言ったきり帰ってきていない。

・スマホの電源が入っていないらしく、連絡はとれない。

・今まで1日か2日帰ってこないことはよくあったのでまだ警察には届け出ていない。だがそろそろ出しに行ったほうがいいかと思い始めていた。

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銀原の母親から情報を得た俺は一度家に戻った。

…なるほど、やはりM山から帰ってきていなかったのか。

前にも述べた通り、M山はいわくつきの場所だ。こうなってしまうであろうとはどこかで思っていた。

おそらく放っておけば銀原達は二度と帰ってくることはないだろう。

…さすがの俺もいつメンを見放すほど無情な人間ではない。

―仕方ない、M山に行こう。

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music:1

その日の午後…

準備は整った。なお、作戦等は以下の通り。

・目標…銀原達の救出、M山のお化けを抹殺。

・持ち物…スマホ、ヘッドフォン、バッテリー、アクエ○アス、母特製おにぎり、チョコレート、サングラス、殺虫剤、登山用ナイフ、ビニール袋、ライター、消毒液、ティッシュ、化学兵器

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wallpaper:84

M山に辿り着いた。

高い木々が生い茂っているが、道は整備されているので道に迷うことはない。

だがあまり先に進み過ぎると遭難する可能性があると考えたのだろう、途中で道は途切れ、ロープが張ってありそこから先へは進めない。

…と言っても、ロープの間には大きな隙間があり、簡単にくぐり抜けられる。奥深くへ進むのは容易なことだ。

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そして、道が途切れている…侵入禁止を示すロープの前にすぐに辿り着く。

おそらく銀原達はこの奥へと進んだのだろう、が、証拠がない。

奥へ進んだ可能性は高いとしても、もしもそうでなかったとしたら、逆に俺が遭難する可能性だってある。

さて、何か銀原達が奥へ進んだっていう証拠は……っと。

ロープの向こう側…侵入禁止エリアに飴の袋を発見。

この飴…桃内の好物だ。つかゴミを捨てるな。

なんにせよ、これで銀原達がこの奥へ進んだ可能性が高まった。この飴はかなり変わった味で好んで食べる者は少ないからなおさらだ。

俺はロープをくぐり抜け、侵入禁止エリアに足を踏み込んだ。

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さて、銀原達がどの方向へ向かったのか…それはちゃんとわかる。

実は昨日一時的に強い雨が降った。そのため整備されていないこの辺りの土はぬかるんでいる。

土には足跡が残っている。これはおそらく3人分の足跡だ。

その足跡を辿って行けばいずれ銀原達と合流できる…はずだ。

つか大雨が降ってんのに森なんかに行くな。

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それから20分程歩いただろうか。まだ土がぬかるんでいるせいで歩きにくい。

それと5月とはいえ、森の中は結構暑い。暑いというよりジメジメしていて不快だ。あまり汗はかきたくない。

さらに直接日光が当たっている。帽子の代わりにパーカーのフードを被り直射日光を避ける。

ヘッドフォンから流れるボ○ロ曲を聞きながら無理やり前へと進んで行く。

その時だった。

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music:3

「…ねぇ……」

耳元で誰かの声が聞こえた。突然の出来事にビクリと体が反応する。

辺りを見回すが、声の主であろう人物など見当たらない。

それだけでも変だが、それ以外にももう1つ。

俺はヘッドフォンでボ○ロ曲を聞いている。それもかなりの音量で。

それなのに、耳元ではっきりと声が聞こえるわけがない。

とうとう始まったか…

いわくつきのM山怪奇現象が。

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木の上や影に白いもやのような…何かがいる。人の様な形をしているのだが、顔や格好ははっきりわからない。

ここで正直に言おう。俺は幽霊の類が得意でない。

霊能力が強くて常に霊などを見れるのなら慣れるものではないのか、と思うかもしれないが、そんなことはない。むしろ嫌になる。

そんな俺は白いもやの軍団に囲まれているのだ。冷や汗をかき、足の動きが遅くなる。すごく帰りたい。帰らせてくれ。

その時、一瞬にして白いもやが消えた。どこに行った?

探してみると遥か上空に浮かんで円状に回っている。何をしているのか…空に浮かぶ白いもやを歩きながら見つめていた。

…ん?

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shake

って…危ねぇ!!

あっ、という情けない声を上げてすぐ後ろにさがる。

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目の前には急斜面があった。こんな所、転がり落ちてしまえばただではすまない。

上を向いてばかりで前方不注意だったせいで…クソ、迂闊だった。

また…声が聞こえた。

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shake

「死 ね よ」

…この森を全て燃やしてしまってもいいだろうか。

俺はコイツらに明確な殺意を覚えた。

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music:2

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さらにお化け共からの嫌がらせはエスカレートしていく。

「帰れ」 「帰れ」 「帰れ」

帰れコールだ。うるさいうえしつこい。

馬鹿馬鹿しい嫌がらせにすぎないが、これが結構精神的にくる。こうなったら意地でも帰らない。

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そのうち精神的な嫌がらせ以外にも、肉体的な嫌がらせも始まってきた。

小枝や石が飛んできたり、危うく落とし穴に落ちそうになったり、バリエーションは様々だ。

精神的なものだけであれば長らくは耐えられるかもしれないが、石が当たったりするのはかなり痛い。

血が滲んでいる。絆創膏を持ってくれば良かった。応急処置として、消毒液をティッシュに染み込ませて傷口を軽く拭く。

なぜここまで人間の侵入を拒むのか、謎である。

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途中で動物の死体の山を見つける。ほぼ原型を留めていないが、人間のものではない。

そういえば進入禁止エリアに入ってから動物を見かけていない。

人間だけでなく、動物の侵入も拒んでいるのだろうか?

なるほど、ここは自分達の縄張りですアピールか。

とりあえず小腹が空いた俺は母親特性の無駄にでかいおにぎりを食う。しょっぱい。

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…ん?

スマホの電波が圏外になっていた。おかしいな、いくら深い所にいるとはいえ、圏外になるなんてことは…

寒気がした。

今までよりも空気が一段と重くなっている。そろそろ怪奇現象の中心部に近づいてきているのだろう。

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銀原達の足跡もここで途切れていた。そこで立ち止まって辺りを見回す。

白いもやのような…お化けは見当たらない。

ただ、視界がぼやける。空気が異常に重い。今まで暑かったのが異様に寒くなっている。

間違いない。ここに怪奇現象の真犯人がいる。

銀原達はどこだろうか。周りにそれらしきものは見えない。

いや、待てよ…よく見ると木や草に隠れた所に…洞穴がある!

すぐに洞穴に駆け寄る、が。

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music:3

sound:33

ッ!?

頭が痛い!締め付けられて、そのままちぎれてしまいそうな…!耳鳴りもする!

ヤツらの作戦か?精神を不安定にさせてくるつもりか…いや、この程度、気をしっかり持てば大したことはない…はずだ。

大きく息を吸い込み、一気に洞穴の中に足を踏み込む。

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…頭痛と耳鳴りは治まった。

ゆっくりと目を開け、暗闇の向こうを見る。

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sound:19

なんだこれは!

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おびただしい数の骨が転がっている。

これは動物のものではない、間違いなく人間のものだろう。

このM山に迷い込んだ者の末路か…?

緊張が高まると同時に銀原達の生死が気になる。これは…もう…?

人骨を避けながらスマホの光を頼りに洞穴の奥へと進む。異臭が漂っている。鼻を摘みながら無理やり足を進める。

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そう時間がかからないうちに、暗闇の向こうに行き止まりが見えた。

その下に人骨とは明らかに違う3つの影がある…!間違いない!銀原達だ!すぐに駆け寄る。

銀原、野火、桃内が川の字で人骨の中に倒れこんでいる。生死を確かめるため、野火の腹に一発蹴りをいれる。

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野火「ゲホッ!」

野火はゆっくりと目を開けた。どうやら生きていたらしい。

野火「あ、あれ…?江渡…?」

続けて銀原と桃内も目を覚ます。

桃内「え、江渡…!?なんでここに…?」

銀原「おいおい…もしかして、お前も捕まった…!?」

捕まった?なんのことだろうか…ともかく、この3人に事情聴取といこう。

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この進入禁止エリアに入ってから、コイツらにも同じように怪奇現象が起こったらしい。

それでも引き返さずに奥深くへと進んでいくと、この洞穴を見つけて入ろうとした。

その時、俺が経験したような激しい頭痛と耳鳴りに襲われ、気が遠くなった瞬間、何かに襲われ気を失ったとのことだ。

つまり…この洞穴はヤツらの餌の保存場所といったところか。俺も危うく餌にされるところだったのか。

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江渡「ところでオマエら、腹は減ってねぇのか?」

野火「いや…全然空いてないよ。」

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おかしいと思った。閉じ込められて約2日ほど経っているというのに、衰弱している様子はない。記憶もはっきりしているようだし。

この洞穴は時でも止まっているのか?餌を新鮮なまま食べるために…か?

何はともあれ、ここから早く抜け出したほうが良さそうだ。

3人とすぐに洞穴から脱出する。

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…瘴気?

まずい、これは…!来たか!?

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shake

洞穴の外には、3mは超えるであろう巨大な白いもや…M山怪奇現象の犯人がいた。真ん中に大きな目玉と口が見える。

俺達はお化けの姿を見て、動けずにいた。完全にビビっている。いや、俺はビビってなんかねぇ!

お化けは何か言葉を発しているが、聞き取ることはできない。

…このまま固まっていたら全員ここで死ぬ。一刻も早くコイツを抹殺しなくては。

武器はちゃんと持ってきている。

皆さんはお化けなどの霊体に物理的な攻撃が聞くと思いますか?

お察しの通り、ほとんど効きません。まあ効く場合も稀にあるようですが。

霊体というのは空気のようなものです。空気中に紛れているような…

ならば、空気を巻き込むような攻撃をしてしまえばいい!

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俺はリュックから化学兵器を取り出す。

ペットボトルの中に火薬と水素をぶち込み、蓋に小さい穴を開け導火線を通した物だ。俗にいう爆弾だ。

学校の化学部に所属する俺であれば、この程度簡単に作れる。

この爆弾を使って空気ごとお化けを巻き込んで抹殺するという方針だ。

ちなみに、最初に言ったようにこれは事実を元にしたフィクションです。実際はもっと安全な方法で抹殺しました。

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ライターで導火線に火をつけてすぐにお化けに投げつける。

sound:39

おお、苦しそうだwww

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music:3

お化けが消えると同時に、周りの空気が軽くなった。不思議なことに、洞穴の中の人骨は全て消え去っていた。

現代科学の圧倒的勝利だな。

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俺達はまた足跡を辿ってM山を降りていった。無論、怪奇現象は起こらなかった。

ちなみに俺の余ったチョコレートやアク○リアスは全部取られた。

この件のことを警察に言うべきかどうかの話が出たが、人骨は全部消えてしまったし、そもそもこんな話を警察が信じるとは到底思えない。

今回の件でもう懲りたと思っていたが、どうやら別の怪奇現象巡りについて話しているらしい。

もう助けに行かなくてもいいのではないか。つか少しは反省しろ。

まあいいだろう、この3人には帰ったら親にどう言い訳するかという罰が待っているのだから。

次学校で会った時はどんな顔をしてくるか、楽しみだ。

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いかがだったでしょうか?

後に調べたことなのですが、遠い昔にM山がある辺りに飢饉で滅んだ村があったようなのです。

あそこのお化け共は動物だけでは満足できず、人間も食らうようになったのでしょうかね?

ともかく、あまりああいう場所には安易に近づいてはいけませんよ。何が起こるか本当にわかりませんから。

それでは、読んで頂き、ありがとうございました。またどこかで…

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