先ず自己紹介をするならば、俺はニートだ。
ボロアパートに、住んでいる。
何をするにもうんざりしてきた。
親からは、もう半年は連絡が来ていない。
俺は今、テレビのニュースを見ている。
『新着ニュースです。最近、【宅配便】を装って、特に一人暮らしをしている自宅に侵入し、暴行を受ける、という事件が続出しています。しかし、犯人と接触したにも関わらず被害者さえ犯人の顔は覚えていない、と言うのです。ですから、十分に窓や玄関口の鍵を閉め、対処するよう日頃心掛けて下さい。』
ふーん、物騒な事件もあるもんだな。
俺は念入りに窓や玄関口、あらゆる鍵を全部閉めた。
まあ、こんなボロ屋に泥棒が来るはずも無いが、万一来たなら俺がぶっ飛ばしてやる。
何だか俺は無駄な正義感に満ちあふれていた。
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ピンポーン
それから数時間後、宅配便が来た。
マジで来たのか!?俺は半信半疑で、玄関へ向かった。
何故か俺には恐怖感というものが、まるで無かった。
「ピザ○ッ○でーす。」
何だピザかよ。
俺は、数分前にピザを発注したところだった。
それにしても、はえーな。
俺はあの、玄関穴っつーの?外が見えるヤツ。
から外を見たが、やはりピザ○ッ○に違い無かった。
それらしい男が立っていた。
「はーい、ちょっと待ってー。」
俺は金を取りに、手前の部屋に戻った。
そして、鍵を開ける前に玄関穴から再確認をした。
あれ?いねぇ。
さっきまで、いたはずの男がそこにはいなかった。
何だよ。何処行った?
その時、何処からかまた声がした。
「ピザ○ッ○でーす。」
え!?
声の音源はすぐ背中越しから聞こえた。
俺は、とっさに後ろを振り返った。
さっきの男が満面の笑みで、俺を見ている。
俺は、さっきとは違う恐怖感に包まれた。
こいつ、どっから入ったんだ!?
作者パッツン
犯人である宅配人は、人間では無かった。