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例えば、友人に怖い話を聞かされて。其の日の帰り道、其の友人と別れた直後に其の怖い話に出て来た怪異と遭遇してしまったとしたら、一般的には、どうするのだろうか。
どうするのが正しいのだろうか。どんな反応をすべきなのだろうか。
僕は家で一人、携帯電話を片手に悩んでいた。
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ズリズリさんの様な何かと遭遇した後、僕は特に何かに遭うことも無く、無事に帰宅した。
道端に散らばっていた飴は一応拾っておいたが、何だか怖くもあるので、郵便受けの中に入れた。
服を着替え、髪を乾かす。気休めではあるが塩を一摘まみ舐め、制服にファブリーズを吹き掛ける。其処でやっと人心地が着いた。
クッションに顔を埋め、昼寝用の毛布を被る。
雨の中を走り回ったからか、体が酷く怠かった。
少し眠ろう。
僕はタイマーをセットしようと携帯電話に手を伸ばし・・・。
ピザポから着信が来ていたことに気付いた。
「・・・・・・うん?」
時間は数分前。マナーモードにしていたから気付かなかったのだろう。
此方から掛け直そうと思いながら、電話帳を開く。
其処でふと思った。もしかして、さっきズリズリさんらしき人物に遭遇してしまったのは、あいつの所為だったのではないかと。
《此の話を聞いた○日後に云々・・・》なんて話は、実際パターンとしてよくある。
ズリズリさんは正に其れだったのではないか。
もしそうだとしたら、ピザポは、其れを知らずに僕に話してしまったのだろうか。
いや、でも、地元で流行っていた話らしいし、途中で話を無理矢理中断していた所を見ると、そうとも思えない。
寧ろ、最初から知っていた様にも見えた。
もしわざと教えたのだとしたら・・・。
・・・嫌なことを考えてしまった。
そんなこと、ある筈が無い。
頭をブンブンと振り、悪い考えを追い払う。
ピザポが、僕にそんな意地悪をする訳が無い。
・・・・・・然し。
今、電話を掛けるのは、止めにしておこう。
僕はタイマーを掛け、何も無かったことにして眠りに着いた。
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・・・・・・・・・。
起きた後も、何となく電話を掛けられずに一日が終わり、次の日。
ピザポに昨日のことを話すと、彼は一言「ふーん。」と言った。
あんまりである。反応が淡白すぎる。
もう少し詳しく話そうとも思ったが、適当にはぐらかされた。
ピザポは、僕に
「後でちゃんと教えてあげるから、今は我慢してて。」
と笑った。
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「ほら、早く帰ろうぜ!早くしないと、また雨降りそうだしさ!!」
「・・・・・・誰だお前は。」
彼が初期化したーーーーーーーーー性格が昔のようになったのは、其の日の放課後である。
作者紺野-2