母から聞いた洒落にならない怖い話。
当時母はまだ若く、ちょっとした反抗期(?)で、彼氏と遊んでばかりで実家には帰らず、よくラブホテルで一夜を過ごした。
nextpage
その日も母は彼氏と仙台の街中で遊んでおり、気がつくと夜の10時くらい。
今からでもチェックインできるホテルを片っ端から探したところ、一件の部屋が空いてる、との事。
ここしかないと思った二人はそこに決めて、街中の路地裏にあるラブホテルにチェックイン。
nextpage
妙な事にその部屋だけ安かった。
出るホテルでは定番の話だけど、寝るだけだから別にいい、そう思って部屋に入った。
妙に空気が重く、冷たい気がした。
二人は直ぐにベッドに横になり、就寝した。
しかし、事態は急変した。
nextpage
母は夢を見た。
ベッドの横に伸びる廊下、玄関から血まみれのワンピースを着た女が徐々に近づいてくる。
もうやばい、と思ったところで目が覚めた。
彼氏を起こそうとしても、起きない。
彼氏は悪夢にうなされるように、呻き声を上げている。
その時、彼氏が飛び上がるように起きた。
彼氏はとんでもない悪夢を見たと言う。
曰く、血まみれワンピースを着た女がベッドに近づいてくる夢を見たらしい。
母は自分も同じ夢を見た、と状況を伝えた。
nextpage
「この部屋おかしい!」と二人はパニックになったが、暫く恐怖で固まって動けなかった。
暫くして落ち着きを取り戻した二人。
その時、母が天井のクロス(?)が剥がれかけている事に気づく。
妙にそこが気になった母は、ベッドに椅子をおき、クロスを剥がした。
nextpage
血しぶき…。
クロスを剥がすと、そこは血で染まっていた。
奇声をあげる二人。
「おい、ここ例の部屋なんじゃないか!?」
例の部屋とは数年前に仙台のラブホテルで起きた殺人事件のこと。ある女性が滅多刺しで殺害され、遺体をベッドの下に隠していた事が発覚した事件。
恐らくこの部屋が事件現場なんじゃないか…。
妙に安かった理由はこれだと怖くなり、急いでチェックアウト。
その夜二人は別れ、母は霊感持ちの友人の家に駆け込んだ。
nextpage
母は友人に事情を説明したところ、友人が
「多分、◯◯(母の名前)の後ろに憑いてる人、その女の人じゃ…」
友人はどうやら来た時から分かっていたらしい。
とりあえず、毎日身体に塩を塗って、安静にしておくこと、と忠告した。
nextpage
あの日以来、重かった肩の重みは友人のアドバイスにより取れ、彼氏も何事もなかったように回復した。
あの部屋で何が起こったのかは想像に難しくない。
作者らうみ。