中編3
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家神様

未だに記憶が曖昧ですが、あれは

良いモノではなかったと断言する。

かつて、婚約者がいました。

今は、もう婚約破棄してしまい

連絡もつかない相手です。

婚約者の実家の母屋は築100年を

こえる、昔ながらの平屋建て

でした。

そして、母屋には婚約者の

祖母しか住んでおらず、

婚約者の父母、婚約者自身は

離れに住んでいました。

離れには生活をするのに、

必要最低限のトイレと

風呂場、後は部屋が三つ。

台所は母屋にあり、

短い渡り廊下を通り、

母屋で料理をし、食事を

すると言う形でした。

さて、話の本題に入ります。

この家には、家神様が祀って

あり、家神様は屋内だけではなく、

屋外にもおり、母屋の裏手に

簡素な祠がありました。

離れには、家神様はおらず、

母屋とその周辺だけです。

家神様には好みの食器、

お供え物をお供えする時間が

決まっており、しかも、

家神様は一人だけではないので、

好みの食器を覚えるだけで

一苦労します。

お皿は、大小様々な貝のお皿を

使用していました。

そう、あの貝です!

淡水の貝ではなく、海の貝

だった様です。

私は婚約者の家を訪れる度、

家神様へのお供えを手伝う事に

なりました。

何しろ、婚約者は実家暮らし

でしたので…

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ある日、一人で家の裏手にある

家神様の祠へ一人でお供えを

する事になりました。

婚約者の祖母から受け取った

お皿を持ち、母屋の裏手に

回ると、途端に背筋が粟立ち

ました。

これは、自分の祖父が亡くなった

時に感じた虫の知らせに似て

いました。

そして、絶対に祠に近づいては

いけないと、第六感が告げて

います。

しかし、それでも頼まれた事は

やり通すのが筋です。

何とか、祠に近づくと…

shake

いたんですよ、何かが。

ヌメヌメとした質感の生き物と

定義しちゃいけない何かが…

脳が理解を拒むって事、

実際にあるんですね。

正に形容しがたいナニカ!

自分は、一目散に婚約者の

祖母の元へ走り込みました。

どうやって説明したら良いのか

混乱する自分に、婚約者の祖母は

出会ったモノは家神様だから

気にしなくて良いと、どこかから

貝の皿を出してきて、それに

お供え物をのせて、外へ出て

行きました。

この後、婚約者の祖母は普通に

戻ってきましたよ。

自分は普通ではおられず、

その後、熱を出し、本気で

精神的に不安定になりました。

結果、自律神経失調症に

なるんですが、これは置いて

おきましょう。

その後、婚約者から婚約破棄を

言い渡されました。

何でも家神様が自分を嫌って

いるからだとか…

普通ならふざけていると

思いますが、自分としては

ふざけている場合でも

何でもなく、とにかく、

婚約破棄をしたくて、

その話に頷きました。

あれから10年近く経過し、

落ち着いて冷静になると、

あのナニカは、クトゥルフ

神話であった、ダゴンに

似た姿をしていました。

婚約者の実家から、海まで

5分くらいだったのですが、

何か関連があるのでしょうか?

蛇足になりますが、自分の

実家も海近くです。

でも、あんなモノは見た事が

ありません。

本当にあれは何だったの

でしょうか?

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ネタバレ注意
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あれは、ラヴクラフトの創作ですよ!!

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