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短編2
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探し物

昨日見た夢の話

夢の中で僕は公園に面したアパートの1階に住んでいて、外にあるベランダで寝ていた。

気づくと、5mも離れていない公園の滑り台の上に男がいた。白い肌、痩身に擦り切れた服。その目は白濁し、髪は薄く老人のような見た目だが、老人ではないことはなぜかわかった。

なにより男は現実ではあり得ないことをしていた。

地面に向かって何かを吐きつける。するとそれが口にすーっと戻るのだ。

吐きつけては戻す。吐きつけては戻す。男は顔を、身体を激しくぶらせながら繰り返す。

僕は気持ち悪く思いながらも目が離せないでいた。

ベランダには隣の部屋との仕切りがあり、僕から見て斜め前に位置する滑り台の上の男の姿が見え隠れしている状態だった。

体の向きはこちらを向いてはいないが、激しく動く男の顔が時たまこっちを向くのだ。

仕切りのおかげで男の位置からはこちらは死角になっているはずだが、いつ僕が見ていることがバレるのが気が気ではなかった。

どれほど見続けていただろうか。

ついに男が動きを止めた。何かわめきながら滑り台の階段を降り、僕の正面に背を向けながら止まった。

「◯◯がなくなった。」「◯◯がない。」そのようなことを言ってるらしい。

男が振り向いた。目が合う。笑っている。

いつから気づかれていたのか。初めからなのか。

白濁した目。ボロボロの歯を覗かせた不気味な笑みを浮かべながらこちらに近づく。

僕は動けない。悲鳴も出ない。

夢だから。

男は手が触れるところまで近づき言った。

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「あるじゃないかー。こんなに立派な耳があるじゃないか。」

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