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私は大のゲーム好き、ゲーマーでした。
とは言っても、今の子達より一世代前、
これを見ている皆さんのお母さんお父さん世代のゲーマーになるのかな。
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今のモン◯トやパズ◯ラなどの、立体的でカラフルな映像にはありそうもないけれど、昔のファミコン時代のとある有名RPGで起こった
信じられない出来事をお話します。
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それは真夏の茹だるような暑さのお昼。
世の中は夏休み、小学生の私もまたその頃から大ブームの、街や城を拠点にフィールドや洞窟歩いて経験値や技を習得し敵を倒しつつ、昼から夜からラスボス討伐に向かうRPGに夢中でした。
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やり込み体質なので、攻略本を片手に敵の特性からアイテムの使い方、最適な装備を整え、ゲームを進める以外の知識も完璧にしてプレイしていたつもりでした。
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その日も経験値を稼ぐ為、経験値の高いレアキャラ討伐の為、とある洞窟を往来していました。
遭遇率の多いザコキャラに辟易し、油断気味に戦っていたらいつの間にかHPは減少し、そこに痛恨の一撃を喰らって、パーティーの一人が倒れてしまいました。
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このゲームでは通常、戦闘シーンは黒い画面に敵の画像、そして味方のHPやMPが白字で表されているのですが、HPが減ると字が緑色に、そして味方の一人でもHPが0になって倒れると黄色くなる仕組みになっています。
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ザコキャラばかりであまり画面を見ておらず、
半ば惰性で操作していたので、そこで遭遇する敵にはありえないはずの痛恨の一撃を受けた音に驚き、ふと顔を画面に向けると、
その洞窟では遭遇しないような最大HPをはるかに超えた高い攻撃力で倒されているのが、一瞬で流れたコマンド情報の中に見逃しませんでした。
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その瞬間。
味方の倒された画面の文字は通常黄色になるのに対し、画面に表示される文字は全て赤になり、それも一定間隔で点滅しているのです。
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そしてさらに驚く事に、
そこで戦闘シーンに流れるバックミュージックもぶっつりと消え、倒されてHP0と表示されている味方が、とてつもない攻撃力で敵を一人で倒し、敵キャラが消滅し戦闘シーンが終わるかと思いきや、そこから更に味方も連続ターンで倒して行き、
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無音の赤点滅の中に、攻撃時のコマンドと効果音が鳴り続けるという、通常ありえない異様な画面になり、敵一匹味方一人残らずいなくなって、真っ赤な文字に全員HP0のパーティーになった所でぷっつりとゲーム画面がテレビから消えてしまいました。
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あまりの出来事に茫然とし、急いで攻略本を見てみましたが敵、洞窟、どの情報を調べてもそんな情報はありません。
更には、そこで消えてしまったのでまた新たに電源を入れなければならないのですが、こういう消え方をするとゲームセーブが消えている可能性が高く、何よりあまりに薄気味悪く、二度と付ける気になりませんでした。
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翌日同じくゲーム好きの友達Aちゃんに話すと、とても気味悪がり、それはゲームに乗り移った悪霊の仕業だと言うことになりました。
彼女の祖母がイタコの末裔でそう言うのに詳しいとのことは前々から知っていたので、早速持って行って見てもらう事にしました。
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ゲームカセットを見ても何か分からないような前時代も前時代のお婆さんなので、あった事を説明してもまるで分かってなさそうでしたが、婆さんが霊視を始めると、
学童位のその頃の同年代くらいの男の子くらいが、夜中に手に機械を握ったまま倒れていく様子が浮かんで来たということ、
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そのゲームカセットが中古だった事などから、
前に使っていた男の子が、ゲームをしたまま突然死を起こし、そのままゲームに乗り移ってしまったとのことでした。
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更にお婆さんは、そのゲームカセットはあまり縁起の良いものではない、少なくとも穏やかな霊魂ではないとの指摘から、二度と触らないようにとの忠告を受け、すぐに始末しようと思っていました矢先、
ある日の事、ちょっと意地悪なBちゃんが遊びに来た帰り、ふと捨てようと思っていた件のゲームカセットがなくなっている事に気付きました。
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Bちゃんはいわゆる「盗り癖」があり、これまでも着せ替え人形や、おもちゃが取られていた事から、
カセットの行方はあにはからんや、と行った所でした。
夏休みが終わり、同じ組のBちゃんは学校に来ませんでした。
先生が難しい顔で、Bちゃんは病気の治療で長い間休まなければならない事をクラスに伝えました。
近所の噂では、ゲームのリモコンを持ったまま、暗い部屋で泡を吹いて倒れていたとのこと…
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それも、画面を赤く点滅させながら。
作者KCN
8ビットは良いですね。