私が小学四年生の頃のお話です。
-
三月上旬、私の小学校では毎年恒例の「お別れ遠足」というものがあります。
遠足と言っても、十数分歩いたところにある山の中の大きな公園でみんなで遊ぶだけです。
nextpage
-
私は運動が大の苦手で、この遠足は大嫌いでした。それに、当日は曇り空で余計に行くのが嫌でした。
まぁ、行かないわけにもいかないので、皆んながはしゃいでいる中、重い足取りで公園へ行きました。
兎に角広い公園で、階段だらけでまるで迷路のようなところです。既に疲れ切って「帰りたい....帰りたい....」と呟き始めた時、目的地の大広場の中の、とても巨大な塔のような石が目に入りました。
nextpage
その瞬間私はとても嫌な感じがしました。
でもそれが何なのか、自分でもよく分からず、あまり気にしませんでした。
-
その後、学校生徒全員で氷鬼をして、縄跳びをして、最後に隠れ鬼をすることになりました。
氷鬼と縄跳びで、息を切らしている私をよそに、隠れ鬼が始まりました。
疲れて走るのがやっとで、隠れられていない私を、五年生の男子が引っ張ってくれました。
ふと前を見ると、私達が向かっていたのは、
nextpage
あの巨大な石でした。
「ヤバい。」と思ってももう遅く、私はその石の裏に入ってしまいました。
そこには、同じく隠れに来た生徒で溢れていました。
たくさんの人にホッとしたのも束の間、私の目に飛び込んできたのは、石の裏に彫られた、たくさんの
nextpage
「な、まえ....」
そう呟いた直後、足下に冷たい空気が流れ、悪寒が走りました。
頭が真っ白になり、
人を掻き分け、
直ぐに石から離れ、
......その後はよく覚えていません。
nextpage
-
家に帰った時には疲労と空腹のピークで、夕食は何時もの二倍近く食べました。
食事を終え、手を洗いに行こうとした時、
「枝垂、今日何かあっただろ」
と、父に言われました。
まさか、あのことじゃ....と一瞬思いましたが、叱られると思い、「何も〜?」とだけ返し、洗面所に近づいた時、
「何かあっただろ!言え!!」
父の怒鳴り声で、私はあの時の恐怖を思い出し、涙が溢れ、その場に泣き崩れてしまいました。
そして、遠足でのことを全て話しました。
父は「やはりな」といった顔で話を聞き、直ぐに私に塩をまいてくれました。
nextpage
-
私が泣き止んで落ち着いた頃、父が全て教えてくれました。
その日行った公園は、一部が墓地になっており、私が見たあの大きな石は、戦争で亡くなった海軍の方々のお墓で、少し離れたところには、それと向かい合うように陸軍のお墓があるそうです。
「あの時怒鳴ったのは、お前に憑いてた霊を怯ませるためだったんだ。最初、お前の足が白くぼやけて見えて、まさかと思ったら、今度はハッキリとお前の足を追うように、白い足が見えてな。」
いきなり怒鳴って悪かった。今度からは気をつけろよ。そう言って普通にテレビを見始めた父に、私はとても安心しました。
作者枝垂
初めまして、枝垂です。
初投稿になります。文章力の欠片も感じられませんね。
きっと小ニの読書感想文で使い果たしたのでしょう(笑)
父の家系は代々霊感が強いそうで、父曰く、父方の祖母→父→私と、それを継いでいるそうです。本当かどうかは知りませんが(笑)
読んでくださって有難うございました。
それでは!