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短編2
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季節外れの蚊

ブーーーン

ブーーーン

鬱陶しいな

耳元で虫の羽音が聞こえる

まだ5月だというのに、もう蚊がいるのだろうか

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俺は蚊を追い払おうと手を振った

それでも羽音は消えない

電気を付けようとしたが、眠い

動きたくない

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仕方なく、布団を頭から被った

これで少しはマシになっただろう

少し暑いが、眠るまでの辛抱だ

眠ってしまえば、蚊の羽音なんて気にならないのだから

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ブーーーーーーーーーン

ブーーーーーーーーーン

ブーーーーーーーーーン

あーーー、うるさいなー!

布団の中に入っちまったのか

殺虫剤は押入れの中だ

俺は仕方なく電気を付けた

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うわああああああああああああああ

部屋中には、数え切れないほど多くの蚊がいた

数百、いや、数万はいる

それに俺の体にも皮膚が見えないくらいびっしりと蚊がとまっている

俺は必死で蚊を追い払おうと体をよじった

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のいてくれ

キモいんだよ

死ねよ

死ね

死ね

死ね

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俺は必死で叩きまくった

狂ったように蚊を叩き続けた

そこらじゅうに、俺の血を吸った蚊の死骸が飛び散る

俺の血も飛び散る

それでもなお、蚊はいる

死ね

死ね

死ね

死ね

死ね

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蚊はどこからともなく湧いてくる

殺しても殺しても俺の周りは蚊だらけだ

息が上がってきた

もうおかしくなりそうだ

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そうだ

殺虫剤があった

俺は急いで押入れを開けた

殺虫剤は押入れの奥にある

俺は仕方なく手前にある工具箱とブルーシートをのけた

殺虫剤があった

これでどうにか俺の体に付いた蚊は殺せる

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俺は殺虫剤を自分の体に吹き付けた

途端に身体についていた無数の蚊が下に落ちていく

清々する

嫌なものは殺せばいいんだ

あの女みたいに

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俺はちらっとブルーシートの方を見た

異臭を放つそれが気になり、開けてやりたくなった

もう2ヶ月になるか

そろそろ骨になってるだろうか

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俺はブルーシートを包む紐をほどいて、中身を見た

そこには、腐って、液体となった死体があった

そして、その水面にはびっしりとボウフラが浮いていた

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死体は栄養があるからだろうか

ボウフラはみるみるうちに成長していく

男が驚いて、動けないでいるほんの数秒のうちにどんどん大きくなっていく

男はどうにか立ち上がろうともがいているが、

蚊の死骸に滑って、うまく立てない

そのうちに、ボウフラはサナギとなった

なんとか立ち上がった男だったが、もう遅かった

死体から羽化したおびただしい数の蚊は、

一斉に男を襲ったのだった

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