子ども
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その存在には、不思議な力があると私は思う。
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まだ、この世界に産み落とされてわずかな
彼らは、純粋で無知だ。
その純粋さが、恐ろしい現象を呼びつけるのか。
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『子どものころ』
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私は、最近、『みえる』気がする。
小学校で一度、そのようなものを見た気がするが、
記憶の中のその映像は、おぼろで確かなのかは
分からない。
だが、中学に進学して最後の年。
学校の廊下の端に、うずくまってる者が見えたり
黒電話のような音が聞こえたり、するようになった。
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最初は、見間違いか。と、気にも留めていなかったが 毎日 必ず 同じ場所 で見るので
そういった説明もつかなくなってしまった。
不安になった私は、母にこのことを相談した。
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母も、私のような体験をしたことがあるらしく
私の話を聞いても、あまり驚いた様子を見せなかった。
『でも、あんた達ちっちゃい頃はそういうのあったからねぇ』
母が言う あんた達 とは、私と年の離れた二人の姉のことである。
『ちっちゃい頃?なんかあったん?』私は、母に
問いただした。
『うん。あんたと樹羅は(次女)は、入院すると必ず何かに怯えてたし。
穂花は(長女)は取り憑かれたこともあんだよ。』
『は!?真面目に?』
私は、驚きを隠せなかった。
『うん。多分。』
母は、その事件を話してくれた。
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穂花が、2歳半ぐらいの時の話。
穂花が突然、高熱を出した。
母が、慌てて病院に行く準備をしていたら、
穂波が、『いやだぁぁぁあ!!』と声をあげた。
母が、急いで穂花の元に行くと
体をうずくまらせ、自分の足元を指さしながら
嫌だ と叫んでいた。
『何?何が嫌なの!?』と、母が聞いてもしきりに
『いやだぁぁぁあ!!』というばかりだった。
何を思ったのか、穂花が恐る恐る足を伸ばした。
その途端
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shake
『触ったぁぁぁあ!!』
何者かが、穂花の足に触ったと言う。
恐ろしくなった母は祖母に電話をかけ、
事情を説明し、祖母の家まで車を走らせた。
その道中、車の目の前を犬のような黒い影が
ものすごいスピードで横切った。
とても奇妙なものだったという。
すると見るみる間に、穂花の熱が下がっていった。
穂波が、足元に見えていたものは、目のギョロっとした黒く恐ろしいものだったという。
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このような話を聞き、そういうものは確かに存在するのだろうと思った。
私が見えているものも、きっと同じようなものなのだろう。
子どもだからこそ見えるもの。
子どもだからこそ感じるもの。
子どもの純粋な心が呼び寄せるのか。
どんな人間もはじめは純粋で無知だ。
もしかしたら、そのような出来事は
誰しもが経験しているのではないだろうか。
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純粋な子どものころに。
END
作者桜花
はじめまして。桜花と申します。
この話は、実際の話です。