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中編4
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出逢いの話・1

他人には見えなくて、自分には見える物がある。

そのことに気付いたのは、自分が小学校に入学してからだった。

身体中傷だらけで、片足の無い女の人。

フラフラと目の前を通った彼女を見て、自分は友人に「女の人、痛そうだね。」と言ったのだ。

帰って来た返事は「え?何処?」だった。

見逃したのだろうと思い、道の反対側に移っていた彼女を指差すと、もう一度「何処?」と言われた。

「女の人なんて、何処にも居ないじゃん。」

からかっているようには見えなかった。

どうやら、本当に見えていないらしい。

「・・・ごめん、何でもない。」

それから、俺は、自分が見た物を他人に話さないようになった。

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~~~

そんな一年生時代から早三年。

見えない物が見えても、聞こえない物が聞こえても、嗅げない物が匂っても、頑張れば結構何とかなるもので、俺の小学生活はまぁまぁ充実していた。

ただ、如何せん自分の世界を共有する相手が居ないというのは退屈だし、両親も兄弟も友達も、皆、俺とは違う世界を見ているのだと思うと、少しだけ寂しくもあり、不安でもあった。

だってそうだろう?

特撮番組のようなあからさまな怪人や、ゲゲゲの鬼太郎に出てくる魑魅魍魎は《当然》とでも言いたげな顔で存在しているのに、肝心の戦隊ヒーローや鬼太郎が居ないのだ。

出来るのは自衛のみ。頼れる人も居なければ、相談出来る相手も居ない。

町中の《出る所》を把握し、対処法を探し、見付け、尚且つ其れを誰にも悟られぬように実行していく・・・。

嗚呼、こんな魔法少女のような二重生活を余儀無くされているのは、何故なのだろう。何故に俺がこんな目に遭わなくてはならないのだ。責任者出て来い。

・・・まぁ、そんなことを愚痴った所で助けは無いし、現状は何も変わらないのだが。

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~~~

其の日、俺は近所のスーパーに買い出しに向かっていた。カレーに入れる玉ねぎが無かったのだ。

父曰く「残ったお金でコロ○ロ買っていいから。」

後は森の横の道を抜ければ、もうスーパーは直ぐ其処だ。コロコ○を買って、其れでもお金が余ったら何を買おう。多分百円以上は残る筈だから・・・。

俺は少なからず胸をときめかせながら、小走りで道を進んでいた。

其の時だ。

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ガサッッ

と音がして、突然、藪の中から何かが飛び出して来た。

・・・・・・何だ?!

咄嗟に身構えたが、よく見ると、其れはボロボロではあるのだが、普通の人間。

歳は・・・俺と同じ位か、少し下だろう。男子だが、学校では見たことがない。他校の生徒だろうか。キョロキョロと辺りを見回し、ホッと息を吐いている

不審だ。凄く不審だ。

「あ・・・!えっと・・・あの・・・!!」

少年が此方に気付き、慌てた様子で手をわちゃわちゃと動かし始めた。

「あの、その、此れは違くて・・・!!」

弁明をしたいのだろう。何が違うのかは分からないが。

此処で無視してスーパーに向かってもいいのだろうが、流石に其れは良心が痛む。

「・・・・・・どうしたの。」

棒読みだったかも知れないが、目の前の少年に質問してみた。彼が益々わちゃわちゃしながら口を開く。

「あの、実は、その・・・

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ガサッッ

shake

先程、彼が出て来た藪から、また何かが出て来た。

ヒョロリとした日傘の女の人。

「ひろくん、みーつけた。」

にたっと笑った顔には、目玉が無かった。

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~~~

《ひろくんのお母さん》は、近辺の小学生に噂されている、都市伝説のような存在だ。

目の前で息子を交通事故で失った女が、悲しみのあまり自分で自分の目をくり抜いた後に自殺。死んだ後も息子を探し求め、子供を息子と勘違いして連れて行こうとする・・・らしい。

成る程。あの少年は、こいつから逃げていたのか。

「ひろくん、かえろーぉ。かーえろーぉ。」

妙なイントネーションでヨタヨタと歩いて来る《ひろくんのお母さん》。

一方、少年を見ると地面にへたりこんでいる。腰でも抜かしたか。

俺は口を開き、大きな声で言った。

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「トラック呼ぶぞ、トラック呼ぶぞ、トラック呼ぶぞ。」

一言目で硬直、二言目で此方を向き、そして三言目。《ひろくんのお母さん》は、耳障りな金切り声を上げて逃げて行った。

驚きの表情で俺を見上げる少年。

「・・・ひろくんがトラックで轢かれたから、こう言うと逃げるんだと。」

俺がそう言うと、彼は無言でコクコクと頷き、一言

「見えるんですか?」

と聞いて来た。

「見えるよ。」

そう答えると、呆気にとられたような顔が一気に輝く。

「追い払えるんだ・・・。凄いです。」

「いや、うん、まあ・・・。結構有名だし、呪文も伝わってるから。」

寧ろ、近所の小学生で知らない方が珍しい。何処の学校にだって出回っている話の筈なのに・・・。

・・・こいつ、何なんだろう。

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俺の心を見透かしたように、少年が頭を下げなから言った。

「あの、僕、木葉っていいます。」

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(((٩(๏Д⊙`)۶)))ぎゃーーー
すみません、間違えてました
_| ̄|○

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紫月花夜さんへ
コメントありがとうございます。

そういう家柄なのだそうですが、ご両親は普通に仕事をしてたそうです。
あ、木葉さんは紫月花夜さんが仰っていたような感じで合ってますよ。

ええ(笑)
相手が相手なのでレアですが、其処はあまり変わってませんよね。

そう言えば、猿兄もそんなこと言ってました。
似てるとか何とか・・・。

あと、申し訳ない。恐らくのり塩ではなく薄塩かと思われます。のり姉は僕ではなく木葉さん達と同年代ですから。

返信

mamiさんへ
コメントありがとうございます。

あれだけの付き合いなら、幼なじみと言って良いのでしょうか。一時期疎遠になっていたようですが。
僕も色々と驚かされました。主に木葉さんの態度とか・・・。

其れが・・・。
猿兄の話だけでは一向に要領を得ないのです。
疎遠になって帰って来たら、いきなりああなっていたと・・・。何があったんでしょうね。

続き、書きました。随分と短い話になってしまいましたが・・・。
宜しければ、お付き合いください。

返信

YUKA Hosakaさんへ
コメントありがとうございます。

御待たせ致しました。

感想ボタンの細分化ですか。
確かにそうだったら分かりやすそうですよね。

先ず写メ自体存在しているかどうか・・・。
写真自体が数えるほどしかないそうなんです。
少しだけどんな反応をすればいいのか、困ってしまいました。
的外れなことを書いていたとしたら、御免なさい。

天候より店長とのり姉と変態に負けそうです・・・。
暑くなると可笑しな人が増えるのは本当のようです。
幸加さんも、不審者にはどうぞお気を付けて。

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たまらん…常々念願だったこのお二人の出逢い…
そんなに、古くからの付き合いだったのですね。
仲悪くなった理由も知りたい…おっと、また欲を出してしまいました。
このお二人の出逢いが読めるなんて…よだれものです…

続き、もちろん楽しみにしています。

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