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短編2
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白い人型

Y県の某市、かなりの田舎だけど観光地として有名でキャンプ場などの宿泊施設がいくつかあった。

私は大学の友人数人と卒業前の思い出作りに2泊3日のキャンプ旅行をしようと計画を立てた。

それで当日、車を走らせてキャンプ場に着いた。

小さくて有名ではないキャンプ場なので、利用者は私たちだけ。

キャンプ場の第一印象はRPGのダンジョンみたいだなって感じ。

管理人室のすぐ側にトイレがあって、そこから狭い木の階段(ほとんど腐ってる)を1分くらい登ると用途のわからない開けた野原、そこから獣道のような狭道を2分くらい登ってようやくキャンプエリアがあった。

驚いたのは、キャンプ場の公共の灯りが管理人室とトイレ以外に一切ないので夜は真っ暗闇。

まあそれは置いといて、その日はご飯を食べたり酒を飲んだりして疲れもあってかすぐ寝た。

2日目も観光してご飯や酒で夜を過ごして楽しかった。

で、もう寝ようって話になってランタンの灯りを消して皆んな就寝。

私も寝ようとしたけどなかなか寝付けなくて1時間くらい寝ようと頑張ってた。

そしたら急にトイレに行きたくなったんで、懐中電灯代わりに携帯もってテントの扉あけて外にでた。

飛び出た木の根っこに足を取られないように携帯で下を照らしながら獣道を歩く。

もうすぐで開けた野原に着こうというとき、私は何となく野原の方に眼をやった。「え…」不意に言葉が出た。私は見てしまった。

野原の真ん中に白い人型の何かが直立してユラユラ揺れている。

携帯は足元を照らしてるから、前方の野原に光はあたっていないので真っ暗なハズなのに、その白い人型だけはハッキリみえる。

私は驚いたからか恐怖からか、その場で動けずにいた。

すると、その白い人型がだんだんと近づいてきた。

私は相変わらず動けず、まるで、体の動かし方を忘れてしまったかのように力が入らない。

白い人型が私の1メートルほど手前まで来ると、顔がよくみえた。本来なら眼のあるはずの位置が2つとも窪んでいて口はない。

表情はないハズだが、怒っているような、不満を訴えているような気がした。

すると突然後ろから「ドサッ!」と音がした。すると同時に白い人型が微かに揺れて消えた。

私は身体が動くようになって音のした後ろを振り返ると、友人が地面に転んでいた。どうやらトイレに行こうとして木の根っこに躓いたらしい。

その光景を見ると急に安心して涙がこぼれた。

その日は怖くて寝れなかったけど無事に夜があけて、次の日になり帰路についた。

帰りの車で私は窓から外を眺めていた。

あの白い人型が、消える瞬間に見せた悲しい表情を思い出しながら。

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