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短編1
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チカッ

夜中の11時

いつものように仕事を終えて、いつものように帰る。

俺はこのマンションの313号室に住んでいる。

このマンションにはいわゆる曰くというものがあった。

俺の隣の隣の部屋、つまり315号室の部屋から幽霊が出るらしいというものだった。

まあ、所詮は噂だし、都市伝説のようなものだろう。

といっても、このマンションに住んでいる人間にとっては気持ちのいい噂ではないが…

エレベーターに乗る。

自分の指が3階のボタンを押すより少し早くボタンが光った気がした。

エレベーターの電気がチカチカと点いたり消えたりしている。

3階につく。

チカッ

エレベーターのドアが開くやいなや、踊り場の電気が消えて、また点いた。

踊り場から自分の部屋へと廊下を進む。

俺に1番近い廊下の電灯が消えて、点いた。

そこから次の電灯、その次の電灯とまるで促すように消えては点いてを繰り返している。

この電灯の列の先には、俺の部屋である313号室、いや、315号室がある。

俺は怖くなり、少し駆け足で自分の部屋へと逃げ込んだ。

きっと気のせいだ…

そう自分に言い聞かせてテレビをつける。

ガタンッ

ドアの郵便受けが動いた。

チカッ

部屋の電気が消えた。

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