長編10
  • 表示切替
  • 使い方

wallpaper:791

3年前に転校していった友人から手紙が届いた・・・

「久しぶり!今度うちに遊びこいよ!

田舎だけどいいところだぞ~」

まぁざっくりこんな内容の手紙だった

住所も書いてあったな

nextpage

友人の名前は斉藤 裕司

小学校の頃はずっと一緒にいた親友で

中2の時に親の都合?かなんかで祖父の家に引っ越してしまった

そこから手紙を何度も書いたけど・・

「そういえば裕司から手紙が来たのは初めてだな・・」

nextpage

夏休みという事もあって

親に了承をもらって、

裕司の家に遊びにく事にした

nextpage

裕司の家はかなりの山奥で

バスの1日1本しか通らない田舎らしい

俺はその1本しかないバスに乗り

裕司の家へ向かった

nextpage

バスに乗って5時間程

ようやく裕司の住む家に一番近バス停へ到着した

nextpage

バス停では裕司が待っていてくれた

「待ってたよ・・・・・・久しぶり・・・」

ただ・・・なんか変だ・・

ずいぶん暗い・・・

「裕司?久々にあったのにどうしたんだ?」

裕司「・・・・・お・・おう」

あきらかに様子がおかしい

nextpage

とりあえず、バス停で立ち話もなんだから

裕司の家まで案内してもらうことにした

裕司の家には林の中を通っていくらしい

nextpage

wallpaper:158

歩きながら再度聞いてみる

「本当、なんでそんなに元気ないんだ?

新しい学校・・うまくいってないのか?」

裕司「・・・いや・・・

最近家で変なことあってさ・・・」

「変なこと?」

裕司「なんかさ、爺さんがこの間死んだんだ・・・

そして爺さんの部屋かたずけてたら、

古い人形見つけてさ・・」

「人形?」

裕司「そう・・・・それからかな・・

家にずっと家族以外の誰かがいる気がするんだ・・・」

nextpage

実際俺はそういった怪談話を信用しないんだが

裕司の様子を見ていると、妙に信憑性を感じた

「しかし、あとどのくらい掛るんだ?」

結構歩いたと思う・・

30分?いや、もっとかな?

裕司「あと1時間くらいでつくよ・・・」

「1時間!?」

さすが長旅で疲れている俺にはつらい距離だった

nextpage

あたりが暗くなってきた頃

あまり会話が無いまま

ようやく裕司が住む家に到着した

nextpage

wallpaper:909

裕司「ここだよ」

ずいぶんボロい家だな・・・・・

もちろん口には出していないが

正直、ちょっと泊るのが嫌なくらい

ボロ家だった

??「・・・・・いらっしゃい」

家の扉をあけると

一人の老婆が迎え入れてくれた

裕司「あぁ・・・・俺のばあちゃん」

「あ、初めまして、裕司の友達の武田です!」

nextpage

軽く挨拶をして、家に入れてもらい

裕司の部屋に入った

nextpage

wallpaper:157

裕司「なぁ・・・・」

「ん?」

裕司が重く口を開いた

nextpage

裕司「さっき話した人形の事なんだけどさ・・・」

「あぁ!あるの?」

裕司「見てほしいんだよね・・・」

「全然構わないけど・・・」

裕司「持ってくるから少しまってて・・」

そう言って裕司が部屋から出て行った

nextpage

なんか別人と居るみたいだ、

裕司は学校では人気者だった

話は面白いし、明るくて中心的な存在で

正直俺とは正反対な性格でうらやましかった

nextpage

襖があいて裕司が戻ってきた

裕司「・・・・これ・・なんだけど・・・・気味・・・悪いだろ?」

nextpage

wallpaper:887

裕司が持ってきたのは古い日本人形

まぁ実際のところ、こういうのは

古い日本人形だと思っていた

「たしかに、気味悪いね・・・・」

裕司「そうだよな・・・・」

「たぶん、人形が不気味だから、裕司が変な風に考えてるだけじゃないのか?」

裕司「・・・・違うんだよ・・本当に誰かいるんだ・・・本当なんだよ・・・」

「わかった、わかった」

とにかく、俺は裕司を落ち着かせて、

話を変えることにした

正直・・・・・

帰りたかった・・・

nextpage

ばあ「ご飯ができたよ~」

そういえば・・・・家から出て何も食べてなかった・・

着いてからコンビニ寄ろうと思ってたんだっけ

コンビニなんて無かったもんな・・・・

裕司「・・・・行こう」

なんで飯行く時まで暗いんだよ

nextpage

wallpaper:906

茶の間に行き、

丸い円卓で、俺と裕司が食事をする

ばあさんは庭をホウキで掃除していて

台所でお母さんかな?洗い物をしている

nextpage

裕司「ご飯食べたら、風呂はいれよ」

「あ?・・・うん」

風呂はどんな感じなんだ?

正直不安しかなかった・・・

nextpage

食事を終え

一旦裕司の部屋に向かう

wallpaper:156

「そういえば、おばさんにまだ挨拶してなかったから、

挨拶してくるよ!」

裕司「は?おばさんって?」

「さっき台所に居ただろ?裕司の母さん・・・」

裕司「何言ってんだよ・・・・俺爺さん死んで・・・

ばあちゃんと二人だけど?」

nextpage

「え?だってさっき台所で洗い物してたのは?」

裕司「だから台所は誰もいないって!」

そんなはずは無い、確かに人の気配もしたし

食器を洗う音もしていた・・・

ただ、裕司が嘘をついているようにも見えなかった

裕司「・・・・・・・・・・だから・・・誰かいるんだよ・・」

nextpage

wallpaper:887

!?

nextpage

wallpaper:156

ふと・・・誰かに見られている気がした・・・

確かに何か変だ・・・こうして裕司と話をしている間も

誰かがいる気がする

さっきの人形が原因?

まさか・・・・・な・・・・・・

nextpage

・・・・オマエガコロシタ・・・

「え?なに?」

裕司「なにが?」

「今、何か言ったか?」

裕司「言ってないけど」

nextpage

確かに聞こえた・・・・・

低いしゃがれた男の声だった・・・

お前が殺したと・・・・

裕司が何かしたのか?

nextpage

ここに居るべきではない!

きっと良くないことが起こる

そう感じた・・・

nextpage

とは言っても、せっかく遊びにきてすぐ帰るのも申し訳なく

今日くらいは泊って行こうと思った

ちなみに・・・風呂は予想通り汚かった・・・

nextpage

夜も更け・・・

相変わらず暗い裕司と

昔の話なんかしながら寝床についた・・・・

nextpage

真夜中・・・息苦しくて目が覚めた・・・

すぐに違和感を感じた

なんか部屋の様子が変だ・・・・

何かいる・・・・・

裕司ではない・・・・・

nextpage

wallpaper:887

人形!?

なんで?ここに?

・・・・オモエガコロシタ・・・・・

nextpage

!?

またあの男の声・・・・

この家は呪われている?

nextpage

wallpaper:156

さすがにやばいと思い、俺は真夜中だけど

家を出ることにした

「裕司!!起きてくれ!!裕司!!」

裕司は全く起きない

というよりは寝息もなく・・・

まるで死んでいるようだった・・・

もちろんこんな時間にバスは無い!

でも、この家には居たくない・・・・・

nextpage

俺は誰にも何も言わず、荷物をまとめて

家を出ることにした

裕司が爺さんを殺した?

オマエガコロシタ・・・・

この言葉が引っかかる

nextpage

wallpaper:187

深夜の山道・・・

懐中電灯もなく

明りは月の明かりだけ

これはこれでかなり怖い

ただ裕司の家で感じた違和感はない・・・・

俺は必至で走り、何度も転んだが

やっとバス停まで到着した

nextpage

「ここで朝まで待とう・・・」

一体何だったんだ?

あの人形・・・・

お前が殺したっていうあの声

台所の気配

・・・・裕司・・・本当に死んでるみたいだった・・・・

nextpage

息を整え、周りを見てみると・・・

俺以外にも誰かいることに気がついた

一人の男・・・・50代くらいかな・・・・

その男が近づいてきた・・・

男「こんばんわ・・・こんな遅くに何してるのかな?」

そりゃこっちのセリフでもある

「いえ、朝までバスを待とうと思いまして」

nextpage

男「バスは明日は来ないよ」

衝撃の一言だった

男「ここのバスは1週間に5日しか運行してないんだよ」

「では・・・・あなたは何を?」

俺はこの男を知っている・・・・

どこかで会った・・・・どこだったか・・・・

nextpage

男「わたしはな・・・・人を探しているんだよ・・・」

「え!?こんな遅くにですか?」

男「そうだよ・・・・許せない男がいてな

殺してやろうと思ってるんだ」

「なぜです?」

表情までは暗くてよくわからなかったが

声は震えていて、本気だと思った

男「でも、ようやく見つけてな・・・・」

「え??」

そして・・・・その男は後ろに隠し持っていたナイフを

俺に突き刺した・・・・

「・・・・え・・・なんで?・・・」

nextpage

wallpaper:791

気がつくと俺はバスの中にいた・・・・

気がつくと・・・というより

目が覚めた

「夢?」

俺はどうやら、裕司の家に向かう途中のバスの中で

寝てしまったらしい・・・

nextpage

「なんて夢だ・・・・」

あの人形・・・・

刺した男・・・・・・

鮮明に覚えている・・・・

nextpage

またしばらくして

目的地に到着した

「なんでだよ・・・・」

夢で見た景色

俺が刺された場所・・・

そして夢と同じように裕司が待っていて迎えてくれた

nextpage

wallpaper:158

裕司が夢と同じように俺に話しかける

裕司「待ってたよ・・・・・久しぶり・・」

「お・・・おう」

裕司と林を歩き・・・・

夢で見た景色・・・・

「なぁ・・・・」

裕司「どうした?」

「最近なんか変な事起きたりしてないか?」

裕司「!?・・・・・・・・なんで知ってんだ?」

裕司が驚いたように言った

nextpage

「なんか、ここに来る前夢で見たんだよ・・・・」

俺は夢で見たことを裕司に話そうとした

「ん?」

ここで俺はあることに気がついた

俺はただ手紙をもらってここへ来た

なぜ・・・裕司が待ってる?

電話もしてない・・・来る時間や日にち

そもそも来ることすら伝えていない・・・・

じゃあ何故、裕司は来ることがわかってるかのように

バス停にいた?

nextpage

裕司「夢?・・・」

この先に行ってはいけない・・・きっとまた殺される

「ご・・ごめん!俺やっぱり帰るよ!」

裕司「どうしたんだ?せっかく来たのに」

俺は裕司の話も聞かず、来た道を引き返した

裕司「おい!まてよ!どうしたんだ?」

裕司が追いかけてきている

nextpage

山道に慣れていない俺は、裕司に追いつかれ腕を掴まれた

振り向くと・・・裕司ではなかった

あの男だ!

男「今度は逃がさないよ」

「なんなんですか!?俺が何をしたって言うんですか!?」

男「君が見たのは夢じゃない」

nextpage

男の手を必死で振りほどき、

必死に走った

狂ってる・・・・

裕司もおかしい・・・・

ここは人殺しの集落か?

オモエガコロシタ・・・

きっと裕司が爺さんを殺し

さっきの男も人を殺している

俺も逃げなきゃ殺される・・

nextpage

wallpaper:905

俺はバス停の近くにある民家に身をひそめた

ここは誰も住んでいないのか?

全く人の気配が無い・・・

そういえば、バス停付近はいくつか家があるが

誰も見ていない・・・・

まるで廃墟のようだ・・・・

nextpage

2時間くらいかな?

誰か来る気配もない・・・・

俺は静かに動き出した

きっとあの男諦めただろう

「そういえば、あの男夢じゃないって

言ってたな・・・・どういう意味なんだ?」

nextpage

俺はその家を出ようと玄関の扉を音を出さないように空けた

nextpage

wallpaper:535

男「見つけた!!!!!!」

nextpage

俺は意識を失った・・・

nextpage

wallpaper:791

ハッ!?

気がつくとバスの中

俺は裕司の家に向かっていた

「いったい何なんだ?誰なんだよあの男は・・・・」

ひどい汗をかいている・・・・・

まるで夢じゃない・・現実と同じ感覚

そして・・・・・・・・・

nextpage

しばらくして

また、バスは目的地へたどりついた

nextpage

wallpaper:741

今度は夢じゃない!

そう確信した

目的地は、今まで見た夢とは違った

普通の住宅街

裕司が待っているわけでもない

「今度は夢じゃない・・・・・」

俺はホッとして手紙に書いてある住所へ向かった

nextpage

ピンポーン

ピンポーン

裕司「はーい」

がちゃ!

裕司「おぉ!!!!武田じゃねぇか!!来てくれたのか!」

「おう!久しぶり」

裕司「本当にな!なんだよ~来るなら電話くらいくれよ」

昔のままの裕司だった

nextpage

wallpaper:23

俺はリビングに入れてもらい

裕司がジュースを出してくれた

「あれ?おじさんとおばさんは?」

裕司「今日は帰ってこないんだ~だから丁度よかったよ」

「あ、そうなんだ」

俺は裕司に夢の話をしてみた

裕司はなんだよそれ!って感じで聞いていた

nextpage

裕司「なんか怖い夢だなそれ!」

「だろ・・・・本当に怖かったよ・・・」

裕司「あ、でも、変な人形なら家にもあるぜ!

妹の人形なんだけどな」

「はは、日本人形か?ってか

ん?妹なんていたのか?」

たしか妹はいなかった気がするけど・・・・

nextpage

裕司「人形見てみるか?結構可愛いんだけど

ちょっと変なんだよ」

「いや、いいかな」

もう人形が怖くて正直見たくなかった

裕司「まぁいいから!ちょっと待ってろ!」

そういうと、裕司は人形を取りに行った

nextpage

まぁ、今までの夢と明らかにちがうし・・・

そうは思っても、やはりあの人形を持ってくるんじゃないかって

不安な気持ちだった

裕司「なぁ・・・・これなんだけど見てくれよ・・」

nextpage

wallpaper:886

それは、夢で見た人形が泣いてるように

目から血を流していた・・・

!!??

裕司「なぁ?ずっと泣いてるんだぜ?なんでかな?」

「お・・・おい・・・なんだよこれ・・」

裕司「なぁ・・・なんで泣いてるか

教えてくれよ・・・・なぁ」

「そんな事わかんねぇーよ!」

あきらかに裕司はおかしくなっていた・・・・

裕司「おまえは知ってるんだよ!!!

教えてくれよ!!!!」

nextpage

wallpaper:878

裕司がいきなり俺に襲いかかり

首を絞められた

「・・お・・・い・・やめろ・・」

人とは思えない力だった・・・

遠くなる意識の中で・・・

俺はまたあの声を聞いた

・・・・・・オマエガコロシタ

nextpage

wallpaper:1

・・・・・・・

・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・夢か・・・・・・・・

nextpage

wallpaper:598

今度は現実だ・・・

ハッキリとわかる

なぜなら俺は今、少年刑務所にいる

そうだった・・・

俺は中2の夏・・・・裕司を殺した

人気者だった裕司を妬み、好きな子まで奪われ

俺は裕司の家まで行き

裕司を刺し殺した

wallpaper:281

何度も刺した・・・・

nextpage

次に

止めようとした父親も刺し殺した・・・・

夢でバス停にいた男だ・・・

wallpaper:535

刺した時の顔・・・・これが俺の記憶に残っていた

nextpage

wallpaper:528

母親も刺したが

一命を取り留めたらしい

ただ・・・・

お腹の中にいた子供が死んだらしい・・・

nextpage

そっか・・・

それが・・・・

妹か・・・・・・

オマエガコロシタ・・・・

そう・・・俺が殺した・・・・・

裕司と

父親と

お腹の中の妹

nextpage

wallpaper:598

数日前、獄中に裕司の祖母から手紙をもらっている。

「出所したら是非、遊びに来てください

あなたが殺したみんなの思い出があります

住所を送ります」

裕司の婆さんはきっと俺を殺したいんだろう

nextpage

そういえば・・・・・

この独房一人部屋なのに・・・

・・・・もう一人ずっと居るんだよな・・・・

nextpage

wallpaper:886

ずっといるんだよ・・・・

裕司の妹が・・・

もう疲れた・・・・・

なんで殺したのか

後悔しても遅い・・・・・

nextpage

wallpaper:878

そして

俺はまた眠りについた・・・

nextpage

wallpaper:791

3年前に転校していった友人から手紙が届いた・・・

「久しぶり!今度うちに遊びこいよ!

田舎だけどいいところだぞ~」

丁度夏休みだったし

俺は裕司の家へ行くことにした

Concrete
コメント怖い
2
20
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

丸い円卓・・・・確かにww

返信
表示
ネタバレ注意
返信