短編2
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机の落書き

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俺が高校三年の時の話なんだけどさ。俺が通っていた高校の周りで、よく野良猫をみたんよ。

大学受験を控えた俺はさ、放課後はよく図書室で自習してたんよ。

勉強に疲れた俺は、図書室の机に、ダンボールに入った子猫の絵を描いて、

その下に『元気な子です。誰か拾ってください。』って書いたのね。なんとなく。

放課後、図書室のその机を見たらさ、ダンボールの絵だけ残ってて、

その下にさ、『大切に育てます。』って書いてあんのよ。

俺はまたダンボールに猫の絵を描いて、『優しい子です。誰か拾ってください。』って書いたのよ。

机文通だなんて時代錯誤もいいとこだけど、青春ってなぁ恐ろしいね。

そして次の日、俺は猫の死体を見たのね。学校から少しはなれた空き地に放置されてた。

血をさ、だら~って吐きながらさ。

放課後。図書室の机には、またダンボールだけが残されていて、『大切に育てます。』と一言。

俺はまた同様に、猫の絵と『やんちゃな子です。誰か拾ってください。』って書いた。

次の日には空き地の猫が増えてたんよ。もちろん死体でさ、2匹追加されてた。

その日も図書室の机の絵は、ダンボールだけになってたんよ。

もう、わかると思うけど、猫の死体を見た日は、俺の猫は消えていたんよ。

その時、俺はまだそのことに気づいてはいなかったんだけども。

毎日ではないけれども、何回かそんな事を続けていたある日。

毎回猫ばかりでは面白くないって思った俺は、ダンボールに人の姿を書いて、

『とても賢い子です。拾ってあげてください。』って書いたのよ。

次の日、学年で一番頭のいいブスが、授業中に教室を飛び出して、

屋上まで行ってなぜか、手首をカッターナイフで切ったんよ。

その子は病院に運ばれて、更に鉄格子のある病院へ、少しの間入院することになったらしい。

受験のストレスが云々ってことになっているけど、

最近良く見る猫の死体は、その子の仕業らしいって言う噂が立ったのよ。

机はダンボールの絵だけになってて、『おもったよりも賢くないですが、それでも育ててみます』と一言。

ちなみに、ダンボールの中の人を描いたとき、茶目っ気を出そうとして、

『僕を拾ってください。』って書こうとしたけど、今更だけど気色悪いからやめたんよ。

もしそのまま書いてたら、俺はどうなっていたんだろう。不思議な人も居たもんだってね。

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・・

・・・

まぁ嘘だけど

Concrete
コメント怖い
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