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摂氏94℃
昨日の最高気温は82℃。
ここ一月で、天文学的異常とも言われる気温上昇が続いている。
その上昇は、未だ止まらない。
海川の魚は、茹だる水の中でのたうち回り、その死骸は白い腹を見せながら小蝿をたからせ水面に浮かぶ。
熱で水気を搾り取られた植物は、秋の頃の葉の如く黄土色に枯れ落ちた。最早、果実を実らす術は無く、種も葉すらも、枯れ果てた。
容赦無く照りつける熱波に家畜は焼かれ、分厚い表皮を爛れさせ、内臓を焼き尽くし、草の葉一つ見当たらないザラつく大地に倒れ込む。
身を焼き焦がす程の熱の中、渇いた喉を喘がせながら、路上を歩く僕。
目的地など無い。目的地など、有り得ない。
目の前の黒いアスファルトの上で、高温に熱したフライパンに乗せられた目玉焼きの様に、何かがジュウと焼かれている。
其処彼処で、人の形をした何かが、全身を黒く焼け爛れせ、燻んだ煙をあげながら、ジュウと焼かれている。
大地は灼熱の釜と化し、地球の命を焼き尽くす。
もう地球に、秋は来ない。
冬の到来は二度と無い。
この灼熱の地獄に、終わりは来ない。
…いや。
終わりは来る。
天を見上げれば、
熱に歪んだ赤褐色と群青色が混ざり込む濁る空の中、
肥大化した真っ赤な太陽が目に入る。
醜く膨れ上がる灼熱の恒星が、地球と呼ばれる惑星を焼き尽くす。
それで地球は終わる。
それでやっと、終わる。
作者yuki
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