【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

長編8
  • 表示切替
  • 使い方

廊下の声

これはあたしがまだ5歳の時の話。

家庭の事情で5歳から祖父母の別荘に母と弟と私でお世話になることになりました。

建てたばかりの新築で豪邸と言ってもいいくらい広いお家でした。

私たちが寝るために与えられた部屋は玄関入って右側の9畳ほどの和室の仏間。

仏間といってもとっても明るい今風のおしゃれな和室でとくに怖いと感じた事はありません。

そして向かいが祖父母の寝室になっています。

毎日毎日広い家の中を走り回り自然に触れ虫をとったりプールをしたり優しい祖父母に色んなところに連れて行ってもらい初めの方は毎日布団に入るとすぐに寝入ってしまってました。

そんな生活にも慣れ落ち着いてきた時の事。

母と弟はすやすやと就寝。

1人で真っ暗な中なかなか寝付けずぱちくりしていたときです。

廊下からゴニョゴニョと話し声がするんです。

おばあちゃんとおじいちゃんがおきてるんかな?

私は1人で起きてるのが寂しくなり襖を少し開け真っ暗な廊下で耳を澄ませました。

襖を開けて左斜め前に祖父母の寝室なのですがそちらから聞こえてきます。

おばあちゃん達起きてるんだ♪

真っ暗な廊下を走って祖父母の部屋を開けました。

しーん。

あれっ?寝てる?

祖父母はすやすや夢の中そして声も聞こえなくなっていました。

あれー?寝たふりかな??

私は祖母の横へ行きユサユサと身体を揺すっていました。

あれ、すみれどうしたん?寝られへんの?早く寝ないと明日おきられへんよー?

その祖母の顔は完全に寝起き。その横で祖父が鼻をピーピー言わしてねていました。

早く寝ないとダメよー。

はーい。

私は不思議がいっぱいのまま仏間に戻りもう一度布団に。

なんだったんだろう。確かに声がしてたのになぁ。

そう思いながらまた暗闇で寝るにねれずずっとぱちくりしていました。

するとまた聞こえてくるのです。

ゴニョゴニョゴニョゴニョ何かを話しているのです。

私はまた祖父母かなと思い襖に耳を当て何を話しているのか耳を澄ませました。

ですが何を言っているのか全く聞き取れないのです。

多分声からすると大人の男女2人。

内容はわかりませんが絶え間なく話し続けています。

たまに会話が盛り上がり笑い声がきこえたりもしました。

絶対おばあちゃん達起きてるんだ。

私はその日何度も祖父母の部屋に行き和室に戻りまた声がして祖父母の部屋にを繰り返し見かねた祖母が母を起こし母が寝れるまで起きててくれました。

母に声の事を言うと

うーん。おばあちゃん達寝てたんやろう?耳鳴りとかかも知れないからまた聞こえたらママに教えてね?

と言ってくれました。

その日はいつの間にか寝ていたようで朝起きて朝食をとりながらみんなで夜の話をしました。

祖父は完全に寝ていた為

そんなことがあったのかー

と少しおどろいていました。

母と祖母は

なんやったんかなー?

お母さん本間に寝てた?

寝てたよー!

など話していました。

私は日中昨日の夜のことをすっかり忘れたくさん遊びまた夜を迎えました。

そして何故だかそこ日も寝付けない。

お母さんと弟はまた先に寝てしまい私も早く寝ないとと思いギュッと目を閉じた瞬間

ゴニョゴニョゴニョゴニョ

また昨日と同じあの声が。

気になるゴニョゴニョ。

おじいちゃんおばあちゃんなんかな?もしかして私を怖がらせる為に昨日起きてたのに嘘ついてたのかも!あの寝起きも演技だったんじゃ!

子ども騙しに少し腹が立ち今日こそ謎を解いてやると昨日は勢いで開けてたけど今日は忍び足でゆっくりドアに近付くことに。

ゆっくり襖を開ける。

ゴニョゴニョゴニョゴニョ。

ふふふ。気付いてな〜い。笑

私は忍者レベルの抜き足差し足忍び足で祖父母の寝室に到着。

でも不思議な事に祖父母の寝室の前に立っていると背後からゴニョゴニョと聞こえてくるのです。

不思議と思いながらそっと祖父母の寝室のドアに耳を付けると部屋はとても静か。

付けた耳と反対側から声がするのです。

静かに祖父母の寝室を開けると話し声はピタッと止み寝息しか聴こえなくなりました。

うーん。

ドアを閉めドアの前で考える。

なんでドアが開いたら静かになるの?おばあちゃん達怪しい、、、。

未だに祖父母を疑う私。

するとまた話し声。

えっ。またうしろ、、?

うしろは壁でその横が玄関なのですが本当の田舎なので家と家の間隔はかなり開いているし人も少なく外に誰かがいるなんてことはまず考えられませんでした。

私はうしろを向き少しずつ声に近付きます。

そこは玄関入ってすぐ横の廊下や玄関ホールはどの電気のスイッチのあたりでした。

しかもスイッチの壁からでは無く手前の何もない空間からきこえるのです。

ここだ!

私は耳を潜めます。

ゴニョゴニョゴニョゴニョ

こんなに近いのに全くなにをいってるのかわかりません。

多分もし人が立っていたら触れあってるんじゃないかなって距離まで私はちかづいていました。

だめだ。なに言ってるか全くわからない。

でも確かに日本語で何かを話してるんです。

見えない何かがいる空間に少しでも重なると声が聞こえなくなることにもきづきました。

壁際に回り込み壁をはって通り抜けようともしたしたが壁際にいるようで無理でした。

わたしはその何かを避けながら回り込み廊下の電気に手を置きドキドキしながらスイッチに力を入れます。

パチッ

パッと明るくなる廊下そこには

何もいませんでした。

もう訳が分からずなんだか急に気持ちも冷めて

もういいや。寝よ。

そしてまたスイッチを押し部屋に戻ろうとしたその時。

ほわん

と電気が消えて暗くなった一瞬だけ見えた気がしました。

1秒。いや、もっと短かったかも。

祖父母よりもっと歳の入った男女2人。

それを見た私は何故か納得しすぐに部屋に戻り寝てしまいました。

起きてから母に

昨日もまた声が聞こえたよ。おばあちゃん達じゃ無かった。

えっ。誰か居たの?

うん。おじいさんとおばあさん。

あんた怖く無かったの!?ママ起こしてくれても良かったんやで‼︎

全然こわくないよ。

えぇ…知ってる人なったとか?

うーんちょっとやからわかんない。

母はとても驚いてました。私はちいさい時から怖がりで夜のトイレすら一人で行けないくらいだったのです。

その私がおばけを見たのに母をおこしすらしなかったのですから。

今思えば自分でもとても不思議です。

何故かちっとも恐怖心はなかったのです。

その日の晩布団に入ると母が

もしまた声がしたらママを起こしてね!おやすみ!

興奮気味にそう言い母は電気を消しました。

私はまた寝付けずあれだけ興奮していた母は弟と夢の中。

暇だなぁ。早く眠くならないかなぁ。

その時

ゴニョゴニョゴニョゴニョ

出ました。例のお二人さん。

静かに立ち上がり襖に耳を当てる。

ゴニョゴニョゴニョゴニョ

あれ。今日は2人じゃ無いなぁ。

この日は3人の声が聞こえてきました。

あっママを起こす約束だった!

母を揺さぶり小声で

出たよ!今日は3人!

母はハッと起き上がり

どこから聞こえるの!3人ってふえてるやんか!おばけは見えた??!

まだ襖もあけてないの!襖の向こうから声がするから聞いてみて!

恐る恐る襖に耳を当てる母。

………なんもきこえへんけど。

嘘やぁ!……あれ。本間や。おらんくなってもたんかなぁ。

母はうーんと少し考え

早よ寝えよ。ママ寝るわなぁ。

本間に声がするんやで!起きて待っといてよ!

もぉいいわぁ〜ママ眠い〜。おやすみ〜。

私は母を裏切り者めーっと思いながら布団でムッとしていました。

数分後

ゴニョゴニョゴニョゴニョ

聞こえる!やっぱりいる!

母を見ると夢の中。

絶対今日こそ何か突き止めてやる。

そう心に決め前回のように静かに廊下に出て玄関横のスイッチの前に。

声はすぐ目の前。声は2人に減っていました。

ゴクリと唾を飲み込んでパチッパチッ

電気を付けて消してみる。

目の前に一瞬だけ人の形が

やっぱり見える!

ドキドキしながらスイッチを

パチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッパチッ

見える!見える!!!背が低めの着物を着た白髪の可愛らしいおばあさんと男性用の着物のような服を着た厳格そうなおじいさん!

付けたり消したりしているうちに私に気付いたのかどうかはわかりませんが2人は写真屋さんで写真を撮るように私の前に寄り添い並びました。

その時

なにしてんの!?

襖の隙間から母が顔を出しているのです。

わあああ!びっくりするやんか!

びっくりするんはこっちの方や!電気付けたり消したり何してんの!

見えたねん!ここにおるよ!

おらへんやんかぁぁ、、、なにゆうてるんよ、、、

みとってな!

パチッパチッパチッパチッ

あれ。さっきまでこうしたら見えてたのに。

もぉ変なこと言わんといて!寝なさい!

モヤモヤしたままコクリと頷き布団に入りそのまま寝てしまいました。

朝眼が覚めると祖母と母が昨日の事を聞いてきました。

昨日見えたって言うてたけどどんな人やった??

私は思い出すがまま昨日の話をして2人の特徴を話しました。

祖母が母と顔を見合わすと祖母はすっと立ち上がりトイレの前のクローゼットから一つの箱と古いアルバムを持ってきました。

これはねぇ、おばあちゃんのお父さん、すみれのひいおじいちゃんが作ってくれはったオルゴールやねん。ばあちゃんはひいおじいちゃんとひいおじいちゃんが大好きやったんよ。

そう言うとオルゴールのネジを回し蓋を開けました。そしてアルバムをみせてくれました。

あっ!この人や!

やっぱりそうかぁ。

それは私が一度もあった事のない曾祖父。そして違う写真には私が記憶に無い少し若い曾祖母が。

曾祖父は私が生まれる前に亡くなっていて一度もあったことがありませんでした。曾祖母は小さい時に何度か会っていましたが見せてもらった写真より小さく痩せて老いていました。曾祖母は寿命を全うし老衰でなくなったそうです。

帰ってきはったんやねぇ。

祖母が少し涙目で言いました。

丁度その時はお盆だったようです。

こっちの家まできてくれはったんやなぁ。

うれしいわぁ。

祖母は嬉しそうにアルバムを見ながら話していました。

他のページにはあの時2人が並んで見せた時と同じ姿の写真がありました。

それから何日か声が聞こえていましたが突然ぱったりと聞こえなくなってしまいました。

今思えばお盆が終わったからまた上の方に帰って行ったのかなと思います。

お盆になるとこの事を思い出します。

Concrete
コメント怖い
4
3
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信

ロビンさん
コメントありがとうございます!
かなりの時間パチパチしていたとおもいますww
本当に不思議ですよね。
本能的にいい霊だってわかってたんでしょうか。
あたしもまだお墓参りいけてません(*_*)
行かないとダメですよね(*_*)、

返信

やあロビンミッシェル子だ。
電気パチパチの下りで一本取られた気分だが、身内だと恐怖を感じないというのはなんか分かる気がするよ。仕事が忙しくてこの夏はまだ墓参りに行けてないんで、親父が化けて出て来る前に行く事にするよ…ひひ…

返信