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これは、一番最近の体験…
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今年の3月、俺が営業回りで乗るライトバンがついに寿命を迎えた。
走行距離は23万㎞弱。
ホントによく走ってくれた。
最後の頃は、オートマなのにギアが変わらない、坂道は一杯に踏んでも30㎞/hちょっとしか出なくなり、わが社のケチ社長もさすがに買い換えを決めた。
とはいえ、さすがにケチ社長。
届いた車は、どこの廃車置き場から拾って来たの?
って思うほどのボロいライトバン…
『マジかよ…』
初めてその車を見たとき、思わずこぼした一言…
車の周りを見て回る…
助手席のドアの動きが悪い…
しばらく開け閉めを繰り返していたときだった…
ゾクッ…
なんとも例え難い寒気…
俺がこの世のものでは無いものを見る前によく起こるこの寒気…
背骨を直接掴まれてるような感じ…
それと同時に誰かに見られてるような気配…
『マジかよ…、もしかして事故車か…』
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車に乗り込む…
いや~な湿気…
確かに外は雨…
でもそれだけでは納得出来ないほどの嫌な感じ…
カビ臭さと錆の匂いが同居したような車内…
ため息しか出ない…
とりあえず、外回りに出る…
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運転中も嫌な寒気はおさまることが無い…
営業先に向かい、交差点を左折…
ふと、助手席側のサイドミラーに目をやる…
自転車!
慌ててブレーキを踏む!
『巻き込んだか?…』
でもなんの衝撃も感じなかった…
車を降りる…
誰も居ない…
なんの痕跡も無い…
気のせいか…
疲れてるのかな?…
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その場所での営業を終え、再び車に戻る…
路地を抜け、幹線道路に出る…
左折…
さっきのこともあったので、左後方を黙視
誰も居ない…
サイドミラーは…
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居た…
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さっきの自転車の女…
再び振り返るがそこには誰も居ない…
なんとなく理解した…
彼女はこの車に巻き込み事故かなんかではねられたんだろう…
それで助手席側のサイドミラーの中に存在する…
ゴメン、はねたのは俺じゃないんだ…
俺は何もしてやれない…
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その日、左に曲がる度に彼女は現れた…
3月のまだ寒さの残る雨の日に、半袖のシャツにジーンズという姿で…
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それからしばらくたった日だった…
その日も雨…
時間の空いた俺は海沿いの広場に車を停め、少し遅めの昼食をとっていた…
視線を感じる…
サイドミラーに目をやる…
やはり居た…
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いつもと同じ雨の日…
いつもと同じサイドミラーの中に…
ただいつもと違うのは、血だらけの顔…
目が合う…
強い怨みって感じではない…
悲しそうな顔…
どしゃ降りの雨の中、傘もささずにたたずんでる…
とても悲しそうに…
瞬きもしないで…
『ゴメン、同じ事を言うようだけど、俺には何もしてやれない…
ただ、あなたが安らかに眠れるように祈ることしか出来ないんだ…』
そうつぶやくと、彼女は消えた…
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車を変えるべきなのかな?
でも、憑いてるからなんて言えば、頭がおかしくなったって思われるだろうな…
特に悪意も感じないし、とりあえず乗るか…
呑気な俺はとりあえずそのまま乗り続けることに決めた…
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それから2週間後…
俺の出張中のことだった…
事務のおばちゃんが、俺の車に乗り銀行へ入金に行った時…
用を済ませ、駐車場から出ようとしたとき、急にエンジンが停止…
結局、廃車になった…
駐車場から左折で出ようとした時だったそうだ…
その日も雨が降っていた…
作者烏賊サマ師
今は、その車を売り付けた中古車屋とケチ社長も悪いと思ったのか、中古車ですがかなり状態のいい車で元気に仕事してます(笑)