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短編2
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私の名前は…

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前の投稿でも紹介したことがあるが、俺にはある出来事から頻繁に出会う女の子がいる。

夢の中に出てきたり、初めて出会った観音堂に立っていたり…

彼女は年を取らない。

初めて会ったとき、俺は小学生だった。

彼女も同い年か、少し年下に見えた。

あれから20年以上の月日が過ぎている。

俺は、おっさんになった。

彼女は当時と全く変わらない。

俺が30歳を過ぎた辺りから、夢に出てくる回数がめっきりと減った。

年に1度か2度、そのくらいしか出てこない年が続き、ここ数年は夢にすら出てこなくなっていた。

それが、最近久しぶりに夢に出てきた。

この怖話に彼女の話しを書き込んだ直後だった。

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俺「久しぶり」

少女「久しぶり」

俺「最近、姿見かけないから居なくなったと思ってた。」

少女「居なくなってなんかないよ。いつも近くで見てるから。」

俺「そうなんだ。」

少女「だけど、ひどいよね。」

俺「何が?」

少女「私の名前」

俺「え?」

少女「忘れてるんでしょ?」

俺「○○ちゃんの名前、忘れるわけないじゃん」

少女「目を覚ますと忘れてるって言ってた。」

俺「そんな事無いよ!いつも名前で呼んでるし」

少女「じゃあいいけど…」

そんな会話のあとは、今の俺の近況の事なんかを話した。

親の事、嫁の事、子供の事…

彼女は微笑んで俺の話しを聞いてた。

少女「もうそろそろ帰らないと。」

俺「もうそんな時間か。また会いに来てよ。」

少女「わかった。起きても私の名前覚えててよ。」

少女「私の名前は…」

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そこで目が覚めた。

夢を見た記憶ははっきりとある。

会話の内容まではっきりと覚えてる。

でも、やっぱり彼女の名前は思い出せなかった。

俺は、庭に出てタバコに火を着けた。

タバコの煙を見ながら、

『不思議な事ってあるんだな』

って思った時だった。

(詩織だよ。)

彼女の声がした。

そうだ、詩織ちゃんだ。

なんで忘れてたんだろう?

でも、頭の片隅にはあったんだろうな。

その名前は、長男が産まれる前にもし女の子なら付けようと思ってた名前。

結局、男の子が産まれたので付けることの無かった名前だった。

その後、産まれた長女にも違う名前が付いている。

詩織ちゃん、これからは俺の子供たちも見守ってやってな。

そう思いながら、観音堂の前を通った時、

『うん。』

そう聞こえた気がした。

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